職場での双極性障害の方との接し方 5つの注意点【当事者目線】
「職場で精神障害者の方とどう接したら良いか分からない」
精神障害者を雇用している企業の方で、こうした疑問を持たれた方もいるのではないでしょうか。
そこで、双極性障害歴7年の筆者が
職場で精神障害者と接するときの注意点【5選】
を当事者目線も加えて詳しく解説していきます!
①「気の持ちよう」ではなく、「脳の病気」と正しく理解する
「うつは心の風邪」という言葉をよく耳にします。昔から、精神疾患は「気の持ちようで良くなる」と考えられてきたのではないでしょうか。
しかし、精神疾患は「脳の病気」です。
この20年間の研究では、「双極性障害者は脳の中でも感情のコントロールに関わる部分(前部帯状回)が小さくなっている」と報告されています。
また、脳全体を幅広く調節している【ドーパミン】の量が、躁状態やうつ状態に伴って変化していると考えられています。
ドーパミンは快楽に関わるとされ、異常に放出されてしまっている状態=躁状態、ドーパミンが減少してしまい、まったく快楽を感じることができない状態=うつ状態と考えられます。
参照:脳科学から見た双極性障害 | すまいるナビゲーター | 大塚製薬 (smilenavigator.jp)
「気の持ちようで良くなるの?」に対する、当事者である筆者の答えはNOです。
実際に、躁状態・うつ状態のときは、自分で冷静な判断ができないのと、周りの声も響きません。自力では、気持ちのコントロールができないので、病院を受診し、適切な薬で治療をして、落ち着かせていきます。
ポイント!
服薬を継続することが、とても重要で、自分に合った薬をしっかり飲んでいれば、躁状態もうつ状態も出ることなく、フラットな状態を保つことも可能です。
精神障害者は、脳の病気と闘っていて、服薬によって症状を抑えられていると理解して頂けたらと思います。
②いつもの様子と違うと思ったら、ゆっくり話を聴く
・以前と比べて遅刻が多い
・顔色が良くない
・口数が少ない
・身だしなみが乱れてきた
・昼休みに一緒に食事に行かなくなった
・仕事の能率低下やミスが目立つ
これらは、本人がなにかしらのストレスを抱え込んでいる可能性があります。
そのストレスを溜めすぎると、体調が悪化するおそれもあるので
ゆっくり話を聴く機会を作りましょう。
そのときに大事なのは、アドバイスするよりも、その人の気持ちを十分に聴くという姿勢です。
当事者の私は、職場での悩みをなかなか相談できず、トイレに閉じこもって何分も席に戻れないことがありました。
それでも、上司が気づいて声をかけてくれることはなかったです。体調が大きく崩れることはありませんでしたが、うつ気味にはなっていました。
私の場合、会社への不信感も抱いてしまったので、そのまま退職することに。
もし、上司から「最近、元気ないけど大丈夫?」など声をかけてもらえていたら、少し状況は変わっていたと思います。
ポイント!
なにか相談したいときに、本人からも言い出しやすい上司・部下の関係を日頃から築くことができると良いです。
③アドバイスや励ましの言葉が逆効果になることもある
「期待しているからがんばれ」
「気合で乗り切れ」
など、むやみな励ましや
「そんなことではダメだ」
「自分の立場を分かっているのか」
「誰だってそうだ」
などの非難は禁物です。
心配な気持ちを伝え、まずは「話を聴く」ことが大切です。
当事者の私だったら、話を最後まで聞いてもらい、問題を一緒に整理してもらえると、とても助かります。
なぜなら視野が狭く、自分では問題の全体像をつかめていないからです。
「この問題に対しては、こういう考え方もあるのでは?」と、一つひとつ一緒に考えてもらえると、徐々に気持ちが楽になります。
④過重労働をさせない
繁忙期に遅くまで残業をするなど、過剰に仕事に取り組むと、躁状態になってしまう場合があります。
当事者の私も、このパターンで一度、再発しました。
仕事にのめり込みすぎて、食事や睡眠の生活リズムが乱れてしまったのが原因です。
躁状態のときは、頭の回転が早くなり、仕事のアイディアも次々と浮かびます。処理能力も上がり、次から次へと仕事に手を出していきます。無理をしてでも仕事を進めたくなるので、悪循環です。
同時に、怒りっぽくなったり、気が大きくなる、ずっと喋っているなどの症状も、本人の自覚なしであらわれるため、人間関係が崩れてしまう、トラブルのもとになる等の危険があります。
私は、残業で無理をして躁状態を再発させ、会社の不満を爆発させたメールを、管理職全員に一斉送信し次の日から仕事に行けなくなり退職しました。
ポイント!
双極性障害のある従業員には、勤務時間や業務量が一定となるような配慮が望ましいです。
⑤プライバシーへの配慮をする
メンタルヘルスに関する健康情報は、誤解や偏見を招きやすいデリケートなものなので、厳格に保護しなくてはなりません。
・本人から聴いて知った個人情報を不必要に他の人へ伝えない
・他の人へ伝える必要がある場合も、原則本人の了解を得る
・伝える範囲は必要最低限だけ
・病名については伝える必要はない
当事者目線では、「あの人は病気だから○○」と偏見を持たれるのが一番つらいです。事実ではないことを噂話にされるのも嫌なので、病名は伏せて、精神障害があるとだけ伝えてほしいです。できる事とできない事も伝えてもらえると、理解してもらいやすいのではないかと思います。
おわりに
最後まで読んで頂いた方は、職場で精神障害者と接する時の注意点を分かって頂けたかと思います。病気があってもなくても同じ人間です。理解が深まった方は、偏見を持たずに接してみてください。
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