全ての友好関係を都合の良いように理解する有害な輩〜セクハラや性被害へと繋がる勘違い
82歳の男が、長年付き合いがあった女性の娘である30代の女性を、睡眠薬入り味噌汁でもって眠らせて猥褻行為をしたという事件。
これを見て、おぞましく思うのって女性が大半なんじゃないかと思います。
なぜおぞましいのかって、猥褻行為そのものも去ることながら、女性にとって82歳の男は、長年一緒に食事したり相談ごとしたり、良い距離感を保った友好関係を築いてきた相手だったからです。
お母さんと交友関係があった相手ということで、強い信頼や安心感を感じて接していたことと思います。
その相手に性愛対象に見られた。
その事実に、女性がどれだけ苦しめられているか、考えるとひどく心が病みます。
親でも恋人でもない、良い友好関係を築ける異性や年の離れた人の存在って、多くの人にあると思います。
私たち女性にとって、そういう相手は親戚の叔母さんとかの存在に似て、揺るがない関係性であってほしいものです。
そんな相手から、急に男性性を露呈され、性的行為を迫られるのは、この上ない屈辱です。
自分を貶められているように感じ、これまで築き上げてきた関係性を根底から壊されるような、恐ろしい出来事です。
性的関係を結んだらもっと心を開いてくれると思ったとか、
向こうも嫌がってないしむしろ好意的だったとか、勘違いも甚だしいです。
例えば、源氏物語の登場人物・光源氏が、幼少期から世話をしてきた紫の上を少女の段階で手籠にしたのは、冷静に考えてみるととんでもない恥辱です。
紫の上にとってどれだけ衝撃的なことだったでしょう。
それを物語の進行上、妻の座に収めて夫に生涯を尽くさせるのは、やはりいくら女性作家の書いた作品とは言え、昔から女性の権利が特に軽視されていたということでしょう。
さて、わかりやすく“親しいおじさん”と呼ばせてもらいますが、私にも親しいおじさんはたくさんいます。
私にとって交友相手との関係性は、出会った時に決まるもので、その後別の枠組みに発展することはありません。
つまり、この人は性愛対象になると最初に判断しない限り、途中からその対象になることはありません。
動物的勘だと思います。
同僚は同僚。仲良くなれそうな女の子はすぐ仲良くなるし、おじさんはずっとおじさんです。
この間、猥褻行為まではいかないけど親しくしていたおじさんから若干のセクハラを受けたことで、私はとても苦しい思いをしました。
その嫌悪感は現在進行形でもあります。
元々同じ会社で一緒にする業務も多かったのと、同じ市内に住んでいるのでたまに行き帰りで車に乗せてもらったり、
DIYが得意で家の故障部分などをすぐ直してくれたり、
奥さんや孫も交えて何回かプライベートで食事をしたりと良い関係性を築いていました。
ここ数年癌治療中だった妻が1月に他界し、2月に一度墓参りに誘われたこともあり数ヶ月ぶりに食事でもとランチに行ったのですが、
それが間違いでした。
妻と死別して時間が余ってるからいつでも遊びに行こうとか、
(その言い方なんだよやっと解放されたみたいな)
自分は残りの人生一人でいたくないから新しいパートナーを探すとか、
(奥さん亡くなって1ヶ月だよ?!)
仕事で数回行ったことのある日本にまたプライベートで行きたいから私と一緒に行きたいとか、
(絶対やだしそもそもなんで貴重な休暇をあんたに使わなきゃいけないんだよ)
さりげなくネイルや腕時計を触ってきたりとか、
上から下までじろじろ見てきたりとか。
時事問題の話題について話してたら「俺たちは考え方が似てるね」
とか言ってきました。
私はどちらかというと、昔話自慢しかしないそのおじさんとはあまり話を楽しめないし、
何回も同じ話題を繰り返すのに辟易とするし、
聞いてもないのに性的なジョークを言ったり無自覚な人種差別発言がとても嫌でした。
それでもそれ以外はオッケーだったし、おじさんはすでに定年退職してるし私も仕事を変わってめったに会わなかったからたまに電話があるくらいの付き合いが続いてたけど、
奥さんが亡くなってしょっちゅう連絡してこようとしたりとか、
私が家族のことで大変で、日本に一時帰国しないといけないっていう時に
「日本から日本茶買ってきてほしい」
とか、私からするとデリカシーのない発言や態度のせいで、はっきりと嫌悪に変わりました。
食事して墓参りして終わって、帰りの車でも恋人のこととか聞いてきたり、まあ不穏な好意ってわかるものです。
帰ってからずっと気分が悪くて、会った時間に言われたことや行動を反芻すると嫌悪感が湧き上がって、自分一人では抱えきれないほど悩みました。
自分を嫌悪し、おじさんを嫌悪しました。
そんなおじさんと時間を共にしようと思った浅はかな自分を嫌悪して、奥さんが亡くなってここぞとばかりにアプローチしてこようとするおじさんを嫌悪しました。
特に自分のことで精一杯の時期に、デリカシーのない発言をしてきたり、無駄に好意を寄せてきたり、ともすると新しいセクハラを試みられるかもしれないと思うとぞっとするので、
しかもそういう人って相手を嫌がらせてることを自覚していないので指摘しても無駄です。
その性格で60年以上生きてきてるわけだし。
2月に食事に行った時の雰囲気で、次もし会ったらなおさらセクハラされるかもしれないし、そうなると困るので避けています。
前はプライベートで会う時は必ず奥さんもいたし孫がいることもあったけど、奥さんが亡き今これ以上好意的になられて変に期待されるのは嫌だからです。
そもそも、自分が老人で、相手にとって性愛の対象でないっていうことを気付けない男ってなんなんでしょうか。
親しい関係を築く上で、友好関係と情愛を混同するのがルール違反だっていうことを理解できないんでしょうか。
情愛のないさっぱりとした友好関係を築いてきた相手が、なぜ性的な行為を受け入れると思うのでしょうか。
おぞましく愚かで、頭に血が上ります。
よく、セクハラや性被害を受けた当事者が、受けた直後ではなく時間が経ってから告発するケースがありますね。
よくわかります。
被害を受けた直後は、まず自分に何が起こったか理解できない時間があり、時間をかけて自分に向き合いながらそれが何だったのか把握するんだと思います。
それから怒りや憎悪、自責の念が湧いて自分の世界にこもり、
誰かに相談するのはそれからです。
なので人によって口から吐露できるまでの期間には差があるはずです。
それだけ傷つく。
男から女へのセクハラだけでなく、男から少年とか、
女から少年へとか、様々な被害パターンがあります。
記事になっているとたまに被害者にも隙があるだとか好意があって同意の上だったんじゃないかとかいう声もありますよね。
信頼してたら隙もあるよ!
人としての尊敬や好意、避けがたい上下関係があるから言うことも聞くし断れないんだよ!
その場を切り抜けるためとか、状況を掴めないまま被害に遭ってあっという間に思い通りにされたとか、当事者にしかわからない時間軸があるんだよ!
多かれ少なかれ気分の悪い思いをして長い間苦しむ全ての人に救いが訪れますように。
そして、自覚があってもなくても人の嫌がることをわからない人が少しでも減りますように。
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