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物語が始まる瞬間

僕の名前はココロ。
田んぼや山に囲まれた村で生まれた。
この村を、多くの人が
「何もない場所」という。
でも。僕はそうは思わない。
僕の思う「何もない」とは
何も「感じるものがない場所」のことだから。
つまり、この村に何もないと思う人は
この村の川のせせらぎや、小魚の戯れ
その横で清流と踊っている若草の輝き
上を見上げれば、若葉たちが
そよ風と奏でててくれる壮大なメロディーが
たぶん、真っ黒に見えているんだろう。
僕はこの風景が好きだ。
たまに雑草だらけの野原で寝転ぶんだ。
目を閉じて深呼吸を3回する…。
そうすると僕は地球が
「おかえり」って言ってくれる気がする。
それが嬉しくてたまらないんだ。

ここを「何もない場所」といった人は
多分、人々が目も合わせず、
濁流のような流れの横で
舗装された路上で寝転び
都会のコンクリートジャングルを
見上げながら、目を閉じて
深呼吸をして何かを感じているんだろう。
あの人は誰から
「おかえり」と言ってもらえているんだろう。

僕の名前はココロ。
この日記は未来の僕に送る手紙…。


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