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【時の狭間で】第4章『時の狭間での決断』

第4章:時の狭間での決断

真希は時間の力が引き起こす影響を思い知り、その能力の重みを強く感じるようになる。たとえ美帆子との大切な友情が消えてしまおうとも、軽々しく人の運命を変えることにはためらいを覚える。

そんな真希の葛藤に気づいた美帆子は、ある日こう言った。

「私たちの出会いは運命だと思う。時間を超えて、大切な人との繋がりがある。その思いを信じて生きてほしいわ」

美帆子の熱い言葉に励まされた真希は、時間の力で世界を変えるより、今と向き合うことの大切さを学ぶ。過去も未来も、全ては現在の自分の心と行動次第だと気づくのだった。

学校の文化祭が近づくと、美帆子は真希を誘って、二人で舞台裏の手伝いをすることに。古代の美しい姫の物語をテーマにした劇だった。

舞台装飾や衣装メイクを楽しみながら、真希はこう思った。「美帆子と一緒に過ごす今が、私の大切な現在なんだ」

本番を見届けた後、二人は校庭を散歩し、記念撮影をする。「ずっと一緒にいたい。でもそれは無理だものね」 美帆子の寂しそうな言葉に真希は胸が痛んだ。

「でも絶対に忘れないから。あなたとの日々が私の宝物」

真希の言葉に美帆子は「その言葉、嬉しいわ」と笑顔を見せる。濃密な時間を過ごした二人の絆は、確かに結ばれていた。

そして別れの時が来る。涙を流しながらも笑顔で手を振る二人。これからの人生に期待と希望を持って歩みだすことを誓う。

この特別な時間の冒険を通じて、真希は生き方の本質を知ったのだった。

エピローグ

真希は普通の学生としての日常を取り戻し、毎日を全うしていた。時には、あの不思議な時間跳躍の日々が、遠い昔の出来事のようにさえ思える。

ある日の放課後、真希はふと昔を思い出していた。大正時代での思い出の風景が、鮮明に蘇ってくる。

「まるで時間を超えた夢のようね」一人呟く真希の前に、お婆さんが現れた。

「あの時間を忘れていないでしょうね」 そう言うお婆さんは、真希とよく似た瞳をしていた。

「あなたは...美帆子さん?」 するとお婆さんはにこにこと笑った。

「私は美帆子の孫娘、サエコです」

驚く真希。涙がこぼれ落ちる。「本当に、会えてよかった」 手を取り合う二人。時は流れても、大切な思い出は脈々と受け継がれていた。

美帆子は画家として生き、静かだが豊かな人生を送ったという。真希はその作品を見せてもらい、温かな時間が描かれたキャンバスに感動する。

「あなたとの日々が、私の原点となったの」 サエコが語る。「ずっと応援してきたわ」

そう言われ、真希は胸がいっぱいになるのを感じた。

二人はカフェで話に花を咲かせ、大切な時間を分かち合った。別れ際、サエコがこう言った。

「またいつか、時を超えて」

そうだ、この思い出がある限り、二人の心は結ばれ続けるのだと。



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