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いちどにひとつ

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オジサンが文字通り "頭を使って荷物を運んでいる。

上手だなぁ・・・エキゾチックだし・・・いい感じ・・・。

マンハッタンのストリートは結構 往来もあるのに、悠々と進んで行く。

「頭は、ひとつしかない。だから、あれ も これ も は無理なんだ。あれ か これ だよ」。オジサンの背中がそう語り掛けてくる。

いちどに・・・ひとつ。

きっとコドモのころ、練習したのだろう。移民としてニューヨークにやって来る前、近東か中東のどこかだったのかもしれない・・・。ボクは頭の中で地図を広げてみる。アナトリア・パレスチナ・アラビア・メソポタミア・ペルシャ、あるいは名も無きシルクロード沿いの村? すると風景が蜃気楼のように立ち上り、そこに、少年だったオジサンが立っているのだ。

頭から荷物が転落したことだって、あったのでは。でもオジサンのDNAには、抜群の平衡感覚がプログラムされていて、業は磨かれた。あきらめなかったからだろう。洋の東西を問わず、あきらめないで続けていると、ある日変化が訪れるってことなんだろう。

頭で運ぶ。これもまた文化遺産。人類多様性の面白さと豊かさは、血の中に宿った天賦の才能だから、こんな光景を見せて貰えただけで感謝だ。

それにしてもオジサン、首、疲れませんか? 今日は写真を撮るだけだったけれど、次に会えたら聞いてみたいな、生きるためのスキル、上達の秘訣。

いちどにひとつ。このシンプルな考え方は、生きることそのものに繋がっている・・・と・・・思い当たる。

誰だって明日のことはある程度心配だ。こうなったらどうしよう、ああなったらもうダメだ。でも、悪い予想が当たるってことは・・・意外と少ないそうだ。だったら、そうなるかどうか分からない明日の心配まで抱えて、生きる重荷を増やすより、今日を生きてみる。昨日・今日・明日。3日分をしょいこんで生きるって・・・そもそも人間の本分なんだろうか。

昨日の失敗・引きずって・・・今日の責任・受け止めて・・・明日の心配・抱えたら・・・ボクのちっぽけな背中には、ちと重い。

いちどにひとつ。

今日、この一日・・・背筋をピンと伸ばし 前を見る。頭の上の荷物を落とさないように するべきことを先延ばしにしないで・・・一歩。

すると・・・ほら・・・どう・・・見て・・・

生きるバランス・・・とれてきたかも・・・。コロナの世界のまん真ん中で・・・うーん、納得。


ボクの胸に、2000年も前に書き記された聖書の言葉が打ち寄せて来ます。それは 遥かな波のように ひたひたと・・・遥かな声のように あたたかく・・・。

それで,次の日のことを決して心配してはなりません。次の日は次の日で心配する事があります。その日の問題は,その日だけで十分です。

                      (マタイ伝6章34節)



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