ドヤ顔インコ②


ちぃちゃん

 店員さんは手袋をし直しもう一度「チョビちゃんおいで!」と手を檻のなかに入れた。
 インコは「チーチョビー!」と意味不明な鳴き声を叫びながら手の中で暴れている。店員さんは噛まれながらも「いてて、この子は元気な女の子ですよ。元気すぎて檻に鼻をぶつけて少しだけはげてますけど。あ!そうだ!良かったら5000円引きするんでどうですか?」と噛まれ続けているので笑顔とも言えない苦虫を噛み潰したような顔で私に提案してきた。
私はその時正直元気すぎて顔をぶつけたくらいで5000円も引いてくれるのか?と疑問に思ったが、それならと思い「じゃあおいくらですか?」と答えた。
 すると店員さんは驚いたような表情で噛み続けているインコに向かって「ちょびちゃん!良かったな!後1ヶ月で売れなかったらお前処分されるところだった。命の恩人だぞ、かわいがってもらえ」ととても喜んでいた。インコは噛み続けているけども。
店員さんは本当に嬉しかったようで、オマケで餌とカルシウムのたっぷり入った石をおまけでくれた。
 檻と止まり木を選んでいる時に小さな箱に入れられたインコが運ばれてきて会計を終え、インコを連れて帰宅した。
 帰りの車中小さな箱のなかでトテトテ歩いている音がなんともかわいらしい。
                     続く

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