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ぼくが目指す文章


逆説的だけど、ぼくは今の時代ではもっとも伝わりづらい文章だからこそ、あえて選んでいる。だからこそ面白い。言葉ひとつで勝負できるその潔さが好きだ。

当然、文章とは言葉の文字だけで届けていくもの。動画はいろんな情報(視覚、聴覚など)を届けられるので、個性が出やすい。世界観が伝わりやすい。それは、音声であっても、写真や画像であっても同じことが言える。

でも文章は、五感で言えば視覚にしか届けられないような、他の表現方法に比べると個性も世界観も、書き手の人柄も伝わりづらい。


どう考えたってデメリットしかないように思えるが、ぼくはだからこそ文章を選んでいる。
個性が出しやすい方法で個性を出しても仕方がない。人柄が伝わりづらい方法で人柄が伝わるから、意味があるのではないだろうかと考えている。


ぼくは文章で視覚以外の五感を刺激したいと思っている。まるで触ったかのように、体験できたかのように感じられる文章。まるで文章から自分の声が聴こえてくるような文章を。

ぼく自身、よく読む人の文章は、実際にまだ声を知らなくても、文章を読んでいてなぜだかその人の声が、聴こえてくる気がしている。

その人の顔や体格まで想像しながら読んでいることがある。


このもっとも伝わりづらい文章だからこそ、個性や人柄が伝わることに意味があるのではないだろうか?
文章を書く人がたくさんいても、声が聴こえてくる人はそんなにいない。

ぼくもまだまだ声を聴かせる文章の域には達していないが、ぼくが目指す文章は、そういった表現なのだ。

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