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“ジャニ男タ研究者”がジャニーズを語る意義

 4歳の頃にSMAPを好きになり,23歳になる今までのこの約20年間,ボクは1日たりともジャニーズに触れなかった日はない.ボクのiPhoneに入っている何千もの曲たちの九分九厘はジャニーズの楽曲であり,中途半端な空き時間を潰す際にはたいていジャニーズタレントの名前を検索にかけ,近況をはじめ,ヘアスタイルやファッション,インタビューの抜粋をザッピングしたりしている.YouTubeで観る動画はほとんどジャニーズで,男性たちが往々にして通る道である女性アイドルの道は通らずに生きてきた(通らなくても満足していた).そして,来年からはじまる東工大大学院での研究でボクは「ジャニーズ」を掲げ,ジャニーズアイドルを見据えつつファンの研究を行う予定である.今となって,ジャニーズとはボクにとって「空気」みたいなものであり,自分のことについて語る上で切っては切れない関係性になっていると確信をもっていえる.

 以上のようなことを,例えば知り合って間もない方に言うと「男なのに!珍しいね!」と驚かれる.今も昔も... まあ,なんだか,自分の趣味が自分独自の個性に繋がっていると思えば「男“なのに”ジャニーズ好きでオレは本当に感性に恵まれたな」とポジティブに捉えることもできるけれど,実際のところは「もっと増えるといいんだけどなぁ... なんであんな素晴らしい人[=ジャニーズアイドル]たちの良さがみんな分からないんだろう...」と憂う感情のほうが強いのが事実だ.

 これを書いているつい最近,ボクの中で大きな出来事が2つあった.1つは,ボクが生まれて初めて書いたとある原稿(前回の記事)を,親愛なる仲間・返町さんのブログに寄稿しようと思い,彼にチェックをいれてもらったところ,
「おのちゃん,これはお前自身のブログで載せたほうがいい」
と熱いススメを受け,このnoteをはじめたこと.

 もう1つは,今ボクが働いている職場で,ボクのところとはまた違う部署で最前線を走り,大活躍を収めている方がいらっしゃるのだが,ボクは先日,勇気を出して,無礼も承知で「今度ボクと話してください!」という旨のDMをTwitterで送った.すると,彼はこの押し付けがましい要求を快諾してくださり,これを書いている昨日,18時から19時で会議室を取ってもらい,教育のこと,社会学のこと,研究のこと,アクロバティックにたくさんの話題についてボクと向き合ってくれた.その話の最後に彼は,
「おのさんには多くの人に発信すべき多くのものを持ってるんだから,note毎日投稿しちゃいなよ」
という助言を送ってくださった.

 ボクは自分の尊敬する方々から頂くアドバイスには絶対的に従う超単純人間なので,毎日発信していくことにした.



 令和元年の現在,ジャニーズは大きな変化を迎えている.一代でアイドル業界のトップにまで事務所・アイドルを育て上げたジャニー喜多川の死去は日本,いや世界中に大きな衝撃を与えた.

 個人的な観点でボクが特に注目しているのは「Snow Man /SixTONES のデビュー」と「男性ジャニーズファンへのフォーカス」である.正直ボクはスノストがシングルCDデビューするとは思わなかった.というのも,彼らのビジュアルや歌う曲の雰囲気は今までのジャニーズアイドルのそれらとは大きく異なると感じていたからである.

 基本的にデビューするジャニーズアイドルの大半は「どことなく少年的な感じがあって,可愛さもあって,頑張ってる姿が愛おしい」という条件があるように思える.これを一言に表すのはなかなか難しいが,とあるファン研究の論文では「未熟さを愛でる」と表現していた.たしかに,デビュー当初のKing&PrinceやHey! Say! JUMP,Sexy Zoneなど,若くしてデビューしたグループには爽やかさと同時に,「だ,大丈夫!?」と思わせるような不安定感があったことは否めないであろう.

 そう,Snow ManとSixTONESにはそのような不安定感がー現段階ではまだデビュー前のジャニーズJr.の括りでありながらー全く感じられず,すでに完成されたような結束感・パフォーマンス・ビジュアルを誇っているのだ.この完璧さは今まで「未熟さ」を売りにアイドルたちをプロモートしてきたジャニーズ事務所の性質とは異なるものである.しかし,ジャニー喜多川が死去し,藤島ジュリー景子が社長,タッキーこと滝沢秀明が副社長として就任した現在,元祖であるジャニー喜多川の意志や思想を受け継ぎ,それを基盤に新世代としての”ネオ・ジャニーズ”が世に放つ1発目のグループとしてSnow ManとSixTONESを選抜したことは実に多くのことを考えさせられる.

 もう一つボクが注目している「男性ジャニーズファンへのフォーカス」.これは,「男性ジャニーズファン」を武器に独自の路線で有名アナウンサーの座をモノにした青木源太の存在と,そして,嵐・二宮和也がメインを務める日本テレビ系列『ニノさん』(2019年6月9日)内で放送された,男性ジャニーズファン特集がこの注目ポイントにおける具体的な例である.今まで特に注目されてこなかった「男性ジャニーズファン」の存在がこのような形で取り上げられることはきっと初めてのことであろう.ボクはまだこの現象に対してまだ深い調査をしていないが,ひとつの仮説として「多様な性の認知・容認」が根深い背景として挙げられるのではないかと考える.

 というのも,従来までの「ヘテロセクシャル(異性愛)こそ普通.それ以外はありえない.」といった偏見に満ちた固定観念は,同性愛者をはじめとした性的マイノリティーの性質を持ちあわせる者の肩身を狭め,「大多数に合わせることが正義」といった思想が少なからず存在していた.しかしながら,そのような思想で生きづらさを抱えていた彼らによる,勇気のある働きかけやキャンペーンが功を奏し,まだまだ問題点は山積みではあるが,“LGBT”という概念や,これに属する者たちがいるという事実への認知と,それまで「ヘテロセクシャルこそが正義」という,いつの間にか皆々が抱えていたこの思想に実は“偏見”が存在していたという気づきを与えた.つまり,これまでの悪しき常識が良い意味でブチ壊されてきているのだ.

 なぜ,ボクがこのような背景を差し出したのかというと,「男がジャニーズ好きとか...なに?ホモなの?」「男がジャニーズ好きとかちょっと引くわ」等といった皮肉やバイアスに満ちたものを多く見聞きしたことに起因する.ボクの世界では「え,なんでホモがジャニーズを好んじゃだめなの?」という疑問と,もう少し視野の広い,「なぜ男がジャニーズを好んじゃダメなの?」という疑問が生まれる.多分だけれど,きっとその人の世界観の中で,経験したことのない事象・現象に対してある種の恐怖に起因する軽蔑・偏見が潜在的に存在するからそんな考えが生まれるんだろうなーと,主観的ではあるが,これがそのようなバイアスの発生原因であるとボクは考える.


 大衆からの視線を集めてその数に応じてスポンサーからお金を貰うマスコミは,大多数から批判をくらうような内容をわざわざ放送することをあまりしない.そのようなマスコミが青木源太をはじめとした男性ジャニーズファンを“わざわざ”特集するということは,きっと何かしらの動きがあった,または起こそうとしているのではないかと思わざるを得ない.

 ボクは基本的に,ジャニーズに属するアイドルを「男としての憧れ」という目線で見ている.この目線は,ボクが異端な人間であることが原因で生まれたものではなく,多くの男性にも迎え入れられる目線・考え方であると確信している.今だからこそ,男はジャニーズから多くのことを学ぶべきであり,ジャニーズ“も”楽しんだほうが,もしかすると今後の人生が豊かになるかもしれない.まだまだマジョリティーである女性ファンは「男性ジャニーズファンがジャニーズを楽しむ視座」を享受することで多角的な視点に触れ,より一層,「ジャニーズ」を楽しんでもらいたい.ボクは人の幸せを見るとこっちも嬉しくなるというタイプの人間なので,ボクが個人的に今までもそしてこれからも様々面でお世話になってきた/なるジャニーズの素晴らしさを,ジャニ男タ研究者としてぜひここで皆様に広く共有したいなと強く思っている.


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