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大きく失敗できない、僕たちに残された道。


「パフォーマンスは悪くなかった。強いて言えば、もっと大きな失敗を経験してほしかった。」

学生時代、メキシコでの1年間のインターンシップを終え、帰国後に社長から送られてきたメールにあった、忘れられない言葉だ。当時、自分が「失敗できない人間」だということにハッと気付かされた、心に残る言葉だった。

人は失敗から学ぶ、経験した失敗や挫折が大きいほど、より大きな学びが得られるなんてことは分かっていても、大きな失敗するのも簡単じゃないよなぁと思う。むしろそういった経験ができる、してきた人たちを尊敬しているし、そういった人達に対して距離を感じている。当たり前のことだが、大きく失敗するにはよりリスクのある選択をしなくてはならないわけで、それだけ勇気のある決断が必要になる。そこで勇気ある決断のできる人はその後成功しても失敗しても、大きくジャンプアップできるのだろう。

自分自身、休学してメキシコの日系ベンチャーでインターンをするという、一見大胆とも言える選択肢を取りながら、結果として蓋を開けてみると石橋を叩きまくっていた。想像してみるとなかなか滑稽だ。笑

それから数年経った今、大きく失敗できているか、大胆なチャレンジできているかというと、相変わらずだなぁと思う。相変わらず両手に金槌を持って周辺を叩いている。むしろ徐々に石橋の叩き方みたいなのが分かってきてしまうんじゃないかと、金槌以外にも便利な道具を小脇に挟んでうまく渡り切る術ばかりが身についてしまう、逆にそっちが心配になるくらいに。呑気に客観視している場合ではない。

と、ここまでくるとこの失敗できない根性はそう簡単には曲げられないのでは?と、最近は半ば諦めに近いものも感じている。そう思い始めたのも、そういう人間にはそういう人間なりの戦い方があるんじゃないか?という気づきも大きい。大きく失敗できないなら、日々犯している小さな失敗を少しずつ、逃さずちまちま拾い集めて、自分の中に蓄積していくしかないんじゃないかなと。大きくチャレンジして失敗できる人達に立ち向かうにはせめてそういった、小さな失敗に対する向き合い方だけは何倍も真摯でないと到底かなうはずはない。

今よりもう一歩、もう半歩想像力を広げて、失敗とも思わないような種とも向き合う。デカく失敗できないなら小さな失敗くらい背負っていこうぜ的な話だ。コインゲームで倍率の高い強敵に目をキラキラさせながら10枚を投げ入れる友達に勝つには、指を咥えて後ろから歓声を挙げている場合ではない。自分の持っている数少ないコインで、1枚からチャレンジできる台で、ジワジワ増やしていくしかない。

いつの日か、そうやって拾い集め続けたり、想像力を少し広げ続けたことが、振り返ると大きなチャレンジに繋がっていたみたいな、そんな小さな希望を持って。

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