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デザインを学びに行った1年でわかったことはチームの大切さ #Xデザイン学校

2019年の春から1年、Xデザイン学校マスターコースに通っていました。
先週2月22日に、最終回が終わり無事修了したので感じたことなどをまとめます。

学んだこと

- UXデザインとビジネスデザインの調査計画
- UXデザインとビジネスデザインの調査
- 価値分析とUXデザインパターン(上位下位分析、KA法など)
- UXデザインの発想とデザイン思考の発想
- UXデザインコンセプトとビジネス戦略
- UXプロトタイプとビジネスプロトタイプ
- UXデザイン評価とビジネスモデル評価

講義のなかではデザインリサーチの手法、リサーチ後の分析様式、発想法、コンセプトメイク、プロトタイピングするための諸々(UXプロトタイピング/ビジネスプロトタイピング)、プロトタイプ評価...などをがっつりインプットしつつ課題ワークで活用してアウトプットするもの。オリエンと最終発表を合わせて(たしか)全10回の講義でした。

最初のインプット教材として使ったのはこの2冊。

学問的だから読むだけだと大変だけど、利用シーンを自分の業務でイメージしながら読むとけっこう入ってきやすかったです。

最終課題は割と早い段階から発表されて、各回でプロジェクトに必要なメソッドとそれを試すプロセスを学びつつ、課題のプランニングを進めるスタイル。

課題内容は会場も貸していただいていた「Yahoo! Japan」を題材にしたサービスデザインでした。

- 提案依頼書:ショッピング体験を楽しむためのサービスデザイン
- 件名:ヤフー社に対する新しいショッピング体験を楽しむサービス䛾提案
- 対象: 
1) リアル空間、デジタル空間の片方、または両方を想定したサービス
2) フィンテック、データ・ドリブンデザイン、IoTなども必要に応じて考慮する
- 最終成果物:
・サービスデザインの最終提案資料とプロトタイプ
・最終的な提案が目指すサービスを紹介する映像

講義中のインプットやワーク、講義外での活動(対象者インタビューや分析結果やフィールドワークなど)とそのアウトプットを元にチームでプランニングしてあれこれ統合して発表、のような流れです。
※今回の振り返りでは各講義やメソッド詳細を書くと長いので割愛してます。

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左端にしれっと自分もいます。

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模造紙とポストイットがだいたいの中間アウトプット。

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miroはけっこうここでも活躍でした!やはり便利。

感じたこと

最終発表直後なので内容が最後寄りです。あと"感じたこと"なので結論はそれほど無いです。テーマごとに感じたことダダ漏れ。
リフレクションしたらもっと過去の気付きや思いも出てくるかもなので、その時は記事を適宜アップデートしていきます。

-- 大事なことはUXデザインの手法をマスターすることよりも強い発想よりもチームビルディング
 1年を通して最も体感できたことだった。デザインの学校で学ぶことじゃないかもしれないけど、ユーザーもとても大切だけど、それよりもまず目の前のチーム。チームメンバーを知らないと良いものは作れないなと。UCDプロセスのどれだけ各手法を習得しても、強い発想ができてもチームでのワークが前提(ほとんどそうだと思いますが)のプロジェクトだと足りない。

ワーク自体は個人で行って、それからチームで合わせて1つのアウトプットを作る取り組みだったから、チームが密になる必要性を顕著に感じたのかもしれない。

どんなモチベーションでこの場に参加していて、どんなことが得意で、何をチャレンジしたくて。普段はどんな仕事をしてて、何が好きで。みんなのそんなことを知ったり、なんでもない話もできるくらいまでになりながら、だんだん柔らかく議論ができたりアイデアが出たりするんだと思う。

単純にメンバーに興味を持つかどうかなので意識の持ちよう次第で変わりそう。その上で、チームで何を目指すのかとか大事にすることは何かとか、チームの共通軸ができるとさらに強い。

-- 大局観じゃなくて具体を感じることの重要性
 だいたいの場合、発想の過程では具体と抽象を行ったり来たりするもの。ただ、サービスデザインの場合、意識的に超具体で話して形にしないと、抽象なままのアイデアは途中で大事なものが抜けたり空中分解してしまう。コンテクストを常にくっつけて話す感じ。

対象者の声など一次情報から分析したインサイトでも、サービスアイデアに昇華して一般化したものになると、一気に利用シーンが広がったように感じる。「こんなこともできる」し、「そんな方向性もある」と可能性が広がって盛り上がるかもしれない。この時、このままで進めると宙ぶらりんになりやすい。
もう一度さらに、どんな人が対象か?知っている誰かが頭に浮かぶくらいの粒度でアイデアを形に落として、該当者に見せて聞いたり、利用シーンに出向いてフィールドワークすることが必要だと感じた。最初に得たインサイトは敢えて捨てて、今得た気づきでもう一度考える。そこで得られた要素を入れ込むとアイデアが強くなる。

自分たちの場合だと、
「熱量」をテーマにしたサービスを考案した。
ざっくり言うと熱量が見えるようになって、熱量の広がりをつくることができるもの。
「熱量」という抽象的なレベルでレイヤーでサービスの価値を考えることも大事だけど、実際にどこにいる誰のどんな熱を対象として考えたのか?は自分たちがものすごい綿密にイメージできないといけない。
そして、その人のそのシチュエーションに出向いて再検証して学習を回すことがもっと必要だった。

これは"Unlearn"という思考法で、過去学んだことを一度忘れて解された状態で学ぶ、新たな視点から出た葛藤が新しい学びにつながる(イノベーションのヒントになる)というもの。
ちなみにUnlearnは所属しているPLAIDでも大事にしていることです。どういうもので何がポイントかはここで学んだことがとてもためになった。

-- 深く潜ると自然にその結果って表れてくる
 KA法やKJ法(懐かしい前職の地獄の研修)などの分析やフィールドワークもすべては目に見えない、起きたことの背景を探りに行く活動。丁寧に続けると、アウトプットに映ることがわかった。そして、自分はあまり深く潜れなかったとも思った。

最終発表で他のチームのプレゼンを聞いていて、内容に生感のある言葉が自然に入っていて、ああこれだと。本当にやりきると勝手に出てきちゃうんだなということを実感した。

一般的に、仕事で同じテーマにチームを分けて同じく取り組むことは少なく、つまり他チームの具体的なプロセスやアウトプットを見れることも少ない。でも、今回感じたように、他チームの過程やアウトプットから考えられることはとても多く、この点で学校ってユニークでいい環境だなと感じた。

-- でも、調査と分析に溺れてはいけない
 UCDのプロセスには本当にいろいろな手法がある。リサーチも、聞いた結果を分析する手法もプロトタイピングも多数。1つ1つが深くて面白くて専門性の高い領域だからどこまでも入っていきやすいものな気がした。前職でリサーチやってた時も楽しかったけどサービスデザインだとアウトプットに幅があるからより面白い。

それでも、全て手法であることを忘れてはいけない。自分自身にも、他の人との議論時も間違えそうになる瞬間は何度もあった。目的思考から外れて、手法論者になってはユーザーが嬉しくなるサービス体験からはどんどん遠くなってしまうと思った。学びに集中するのも考えようだった。

-- この舞台はトレーニングか本番か
 学校では、"お題"という方向性はあるけど、基本自由発想だ。目的の設定についてはビジネスよりも実はちょっと地盤が緩い。UCDのプロセスを勉強し始めたばかりの各人が、リサーチアプローチの学習と発見をぶつけながらアイデアを生み出すことの難しさをとても感じた。

本当に特定の課題を解くためのサービスデザインであれば、その目的からズレるべきではないけど、学んだばかりの技術を試して自分の身体に馴染ませたいのであれば目的より手段が優先されるかもしれない。むしろ目的が「学習とその手法の定着」なのだから。個人でも何度も悩んだ話。

例えばサッカーの公式戦だったら。
どれだけ泥臭くても1点獲って勝てばいい、崇高なシステムを敷いてアンラッキーで負けるよりも相当いい。でも学校は本番じゃないから、この1年間の場は練習なのか、本番(に近い)のか。きっと両方あり得るけど、そういった舞台設定を考えつつ臨むのは当然やったことなくていい経験だった。

これから

最後の講評で山崎先生はこう言ってました。

- これからのビジネスを考える上では"Social"を踏まえてほしい
- 今回であれば、Yahoo!JAPANは今後どういう会社であってほしいのか
- 彼らの社会における役割は?
- それは、ユーザーのことだけを考えてユーザーに対して提供価値を作る(これまでのUX Design, Human-Centered Design)よりも難しいこと
- 社会への拡張までを考えるチャレンジがマスターコースでやってほしいことでした

チームビルディング的な気付きとか、上記の本当はやってほしいチャレンジとか、UXにフォーカスしたデザイン学校のテーマからは想像できない、明文化されていない大きなトピックがありました(先に言ってほしかったけど笑)。

来年度に外でこういった学習をするかはまだ未定だけど、スキル的にも感覚的にも学べたことはとても多かったです。「ユーザーを知り、発想する」という行為と、そのHowを学んで実施した経験は今の仕事にも大いに活きるもの。オンラインが中心の領域でも、当たり前のようにユーザーが見えて知ることができたら世の中の体験ってもっと変えられるとここでも思うことができました。

直接すぐ活かせそう!(こんなことに役立ちます)と思ったメモ

★新しいサービスデザインだけではなく、既存プロダクトの発展や改善にもリサーチの方法や発想法などめちゃめちゃ活かせる
  - インタビュー結果/フィードバックの分析方法
  - インサイドアウト x アウトサイドイン
  - B2Bソフトウェアでも基本一緒だと思えた

★初めまして!な人たちと協同してアウトプットを出すから、「チームでやる力」が上がる
  - チームビルド系の課題を解く検証になる
  - 普段会わないいろんな環境にいる人と話せる
  - リードやリズム作りなどのプロジェクトの進め方がわかる(苦労して学べる)

★体系的に学べる。だから応用しやすい
  - 業務だとUCD的なプロセスの断片しか扱わないから全容はわからない
  - 方法が生まれた背景やプロセスごとのつなぎも理解しながら実施できる
  - 仕事での活用をイメージしてインプットできる

自分の場合、定性的な分析が中心価値のプロダクトを担当しているので、この1年やったデザインリサーチというJobのなかだと、自分たちのプロダクトがどこに値するのか・何を溶かせるのかイメージしながら臨める。

リフレクションに関しては今回noteを書くのに読み漁ってた記事のなかでこれがとてもわかりやすかったです。文中で述べてる「リフレクション」はReflection on actionってやつだった。おすすめです。深い。


\1年間、お疲れさまでした!/

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