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TureDure 15 : 夜についてのほろろ歌

わたしにとって夜は、はたで眠りこけてくれる猫のようである。いがみあうわけでも、支えあうわけでも。わたしにとって夜は、安息の時間だ。このひとときだけは、ゆるやかな死を感じる。少しずつ眠りへと落ちていく中で、わたしは落ち葉になる。

こうもわたしのまぶたがまぶたであってくれたことに、ありがたみを感じる瞬間はないきがする。
わたしのまぶたがまぶたであるように、わたしのまぶたに投影されるイメージもまた、そうあってくれることにたゆたう心地だ。

夜は、静かで、けたたましい。
いつになく、不安で呼吸すらままならない窒息しそうな世界の中で、夜はかならず明るさを整えてくれる。

わたしは夜のなかで、ゆるやかに溺れていく。
まぶたに映るは、つれづれ、ほろろ。

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