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 #449 電気設備の調査員

 11時過ぎ、玄関のインターホンが鳴ったので、妻が対応に出た。電気工事用のヘルメットをかぶった男性が、「私は、電力会社から委託され漏電がないか調査に伺った、電気安全サービスの調査員の伊藤です。今回は、この地域を調査点検させてもらっています。漏電火災になることがあるので、家の外にある電力計と、家の中にある分電盤の調査をさせていただきたいのですが。」とのことだった。

 妻が「家の台所にある分電盤を見たいらしいと言っているけど、えーかな~。」といって、私の部屋に来た。
 私も玄関に出た。身だしなみもきっちりしていて、受け答えもはっきりした青年だった。私は、「どうぞ入ってください。」と言った。

 彼は、お邪魔しますといって玄関に入ってきた。「私も小さい頃は、となりの地区の団地に住んでいました。この地域には、小学校からの友達も多いです。よく自転車で遊びに来ました。この近くのお菓子屋さんに、友達の坂本君とよく買いに行きました。懐かしいところです。」といった。「そうやったん。坂本君と友達やったん。」と、妻が言った。
 
 彼は丁寧に配電盤を調べ、「漏電の心配はありません。」と言って、チェックした紙を私達にくれた。

 「地元の人が検査にきてくれて安心したわ。」と、妻が言った。「私もそうなんです。私の遊んだ小学校の友達のことを言うと、だいたいの方が安心してくれます。やっぱり地元はありがたいです。」と彼は言った。
 
 そして丁寧に挨拶して隣の家に行った。となりの家から、はきはきとした彼の声が聞こえてきた。

#ふるさとを語ろう


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