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渋沢栄一『論語と算盤』

日本資本主義の父と呼ばれている渋沢栄一

2021年には俳優の吉沢亮さん主演で大河ドラマにもなり、
2024年には新一万円札の肖像画として我々の生活に深くかかわる存在となります。

せいてn

日本で最も成功した実業家といわれており、
かの『もしドラ』で有名な日本でドラッカーも称賛した人物です。

実は私、渋沢栄一著の『論語と算盤』が非常に好きでして、
本日はそちらについて触れていきたいと思います。

現在の埼玉県深谷市で生まれた渋沢栄一は一橋慶喜(のちの徳川慶喜)に仕え、慶喜が15代江戸幕府将軍となると渋沢も幕臣になりました。

そしてフランス万博に使節団として渡った時に西洋の産業文化を目の当たりにし、経済システムが強くなることこそが近代化には欠かせない、と考え、文明開化のために政府の体制と財政の同時強化こそが重要なのだと見抜いていました。

実は当時の日本では経済は
役には立つがまだ見ぬ資本主義のなか下級商人の学問として卑しいものだ
と卑下されていました。

一方で道徳こそが武士の教養として非常にありがたいものとされ重宝されていましたが、役に立たないものともされていました。

渋沢栄一はこの青年時代から『論語と算盤』=すなわち道徳と経済といったこの相反した考えを理念として掲げており、
そして76歳の時に著書『論語と算盤』を執筆したのです。

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渋沢は官僚として大蔵省に入省後、
・租税制度の改正
・貨幣制度の改革
・会社の就業規則の制定
といった近代経済の礎を築きますが
大久保利通との対立や薩長出身者への優遇体制への反発から大蔵省を出たあと、
現在のみずほ銀行を足掛かりに
・王子製紙
・東京海上火災
・日本郵船
・東京電力
・サッポロビール
・アサヒビール
・帝国ホテル
と名だたる企業の創立に寄与してきたのです。

渋沢はこんな言葉をのこしています。

「他人のやったことが評判が良いからといって、
これを真似してかすめ取ってやろうと考え、
横合いから成果を奪い取ろうとする悪意の競争をしてはならない」

これを輸出入貿易を行っている業者に向けて語ったのです。

競争の道徳には悪意と善意があるといい、文中の悪意の競争とは
限られた市場の中で椅子を取り合うゼロサムゲームのことを指し、
そんなことをしていては疲弊するだけであり、国際社会の中で競争力をなくしていってしまうことを示唆しています。
そして結果的には自分の評判のみならず日本の評判を落としてしまうということを見抜いていたのです。。

そして渋沢栄一は本書の中でこんなことを説いています。
「現代の人の多くは、ただ成功とか失敗とかいうことを眼中に置いて、
それよりももっと大切な天地の道理を見ていない」

すなわち悪意の競争を行ってしまっている人々は
物事の本質を命とせず、カスのような金銭や財宝を魂としてしまっている
と語っているのです。
人は人としてなすべきことの達成を心がけ、自分の責任を果たし、
それに満足しなければならない。
しかし、正しい努力をして成功した人に対して、
人々は彼らを「運がいいだけだ」「裏で悪さをしているんだ」と妬んだり
一方で自分は楽して稼ぎたいと思いがちになってしまっているということを評価しています。

いつの時代も人が思い悩む成功・失敗とは
「一時の成功や失敗は長い人生では価値の多い生涯における泡のようなものだ」と語っており、
たった一回の成功を目的にして生きず、たった一回の失敗で人生を失敗とみなさない。
成功・失敗ではなくその過程こそが重要だということを説いています。

この『論語』は今から2500年も前にかかれているものであり、
キリストや卑弥呼よりも前に書かれたこの内容が
渋沢栄一の時代も経て、今日もなお語り継がれていることは、
つまり人間の本質なんてものは時代が変化しないということを表しているのだと私は考えています!

いつもより堅い内容になってしまいましたが笑
大河ドラマをご覧になる方にはより一層楽しめるよう是非お勧めしたい一冊ですし、
そうでない方にも、ビジネスに従事する人には非常に考えを深めてくれる素敵な本です!

読みやすい漫画版もあるみたいですのでぜひ読んでみてください!!

まさかのRenta!にもありました笑


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