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M-1グランプリ:王道漫才の立ち位置

年末の祭典
M-1グランプリでしたね

今回のM-1グランプリ、本当にレベルが高かったと思います。
※以下ネタバレがあります

決勝進出の10組のうち、5組は
開催年によっては優勝も狙えるのではないかと思えるほど。

決勝の3組は特にレベルが高かった。
優勝したミルクボーイの勢いと3位のぺこぱのニュースタイルにはただただ脱帽。

実はM-1をガッツリみるのは久々でした。
というのも2010年に10年の歴史に幕を閉じるまでは
毎年全て観たのはもちろんのこと、
録画したものも何度も何度も見尽くすほど、
のめり込んでいた時期も。
(特に2005や2008はリピートしましたね)

しかしながら復活した2015年、
あまりにもこれまでのファイナリストとのレベルが違いすぎて残念に感じてしまい
しばらくM-1は全ては観ず、話題のところだけを追っかけ再生するに留まっていました。
(何様なんだってかんじですね笑)

今日はかまいたちがラストイヤーということもあり久々にみてみようかなと。

4年連続決勝進出の和牛がまさかの準決勝敗退ということもありましたが、無事敗者復活で決勝に。
正直和牛とかまいたちの一騎打ちだと思っていました。

初戦、2番手披露のかまいたちと3番手披露の和牛が案の定1番手のニューヨークと圧倒的な差をつける状態
(これはニューヨークにとっては厳しいネタ順でしたね。。。)

しかしながら4番手のすゑひろがりの番のとき、
「お?今年おもしろそう!」と思いました。
かまいたち、和牛と関西の王道漫才が続く中、
古典風のキャラ漫才で一気に世界観が変わったのです。

そしてミルクボーイが歴代最高の681点で1位に躍り出ると流れも変わります
和牛が3位に落ちファイナル進出が危ぶまれたのです。

そしてトリのぺこぱ。

これでファイナル3組の最後の椅子が決まるという大事な局面。
おそらく審査員の7名は「和牛」と「ぺこぱ」というトーナメントが頭のなかでつくられたことでしょう。

結果ぺこぱが和牛に2点勝りファイナル進出を決めます。

この瞬間、私は
「あ、王道漫才が厳しくなった時代なんだな」
と感じました。

おそらく、環境も状況もなにもかもをフラットにしてみたとき、

ぺこぱと和牛に差はなかったと思います。
むしろネタの面白さだけでいえば私は和牛の方が上だったとも思います。

しかしながら様々な要素が今回の結末を迎えたのだと思います。

・和牛は5年連続の決勝だったためハードルがあがっていた
・超新星のミルクボーイが歴代最高得点を決め、常連よりも「超新星」に波が来ていた
・決勝の3枠のうち、すでにかまいたちが王道漫才の枠を決めていた
・おそらく審査員としては王道漫才が2組並ぶより、新鮮なスタイルの漫才を見てみたかった

正直私は今回のようないわゆる「色物漫才」が苦手でした。(色物、という言葉選びが正しいかは判らないです)
王道漫才で面白い人たちこそ実力があると思っていました。
だからこそ2010年以前と2015年以降のM-1に壁を感じ、着いていけないと思ったのです。

しかしながら今回のM-1、とくにミルクボーイとぺこぱをみて、
ニュースタイルの漫才が王道漫才を喰う時代が来たのだなと強く感じました。

ミルクボーイのネタ終了時にナイツ塙さんが仰っていたコメント
「誰がやっても面白いネタとそのネタをやって一番面白い人たちのかけ算」
これがめちゃくちゃしっくり来ました。

とくにミルクボーイは題材が「コーンフレーク」や「モナカ」といった
誰もがわかり、親しみも持ちやすい食べ物なのが受け入れやすい秘訣かも。
それを「コーンフレークだ」「コーンフレークじゃない」と掛け合うのも最高にバカバカしいですね。
小学校で流行りそう。

ぺこぱはツッコミが斬新。もはやツッコミなのかとツッコミたくなるようなツッコミ。
これも小学校で流行りそう。

かまいたちや和牛のネタは本当にレベル高いです。
洗練されている。職人芸ですよね。

でも職人芸の場合、やはり「誰がやっても面白い」にはなり得ない。

どっちを評価するのかって本当に難しいと思います。
ネタなのか芸なのか。
だからこそネタが面白いだけではダメだし、
芸が凄すぎるのもダメ。

誰がやっても面白いネタを、そのネタをやって一番面白い人たちである必要がある

塙さんのコメントが的を射ていたと心から思います。


ちなみに決勝の成績を審査員ごとの点数に分けた表です

一点とても興味深いことが。

松本人志だけが順位順に点数をつけてるんですよ。
『漫才の歴史は彼以前、彼以降に分かれる』
と言われる所以はここにありですね。

ちなみに直後に放送されたM-1反省会で
かまいたちが
「もうやり切った。でもこの準優勝を3回繰り返している和牛はすごい」
と、悔いのなさと同期でもある仲間を称える姿はかっこいいなと思いました。

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