認知行動療法の目的と考え方
認知行動療法はある出来事が起こったときに、「どのように認知するか」「どう行動するか」を改善していく心理療法です。
「どのように認知するか」を考えていく【認知療法】と「どう行動するか」を考える【行動療法】を組み合わせて【認知行動療法】となっています。
ある出来事が起こると、人はそれを認知したり、感覚的に感じたりします。認知、感情、行動、感覚を総動員して人は出来事に対応します。
認知行動療法ではこの4つの反応の中で、操作しやすい認知と行動に注目します。(感覚や感情に働きかける心理療法も存在します)
・認知療法【受け止め方の柔軟性を向上させる】
認知療法では認知の柔軟性を上げることが目標になります。
認知療法は先程申し上げたように認知の数を増やしていき認知の柔軟性を高めていくのが目的になります。いろいろな角度から物事を見ることで認知の複雑さが増し、気持ちが安定しやすくなります。
例えばコップに水が半分注がれているとします。それを「半分もある!」と認知することもできますし「半分しかない・・」と認知することもできます。「半分もある!」という考え方はポジティブな印象を持ちます。「半分しかない・・」と捉えるのはなんとなくネガティブな印象を受けます。
しかし認知の柔軟性を増すという点では、どちらの認知の方がより優れているという話ではありません。ポジティブな認知、ネガティブな認知など様々な認知を増やすことで認知の柔軟性が増していきます。
良いか悪いか、白か黒かだけではなく灰色はどんな認知があるのかということを考えてみるのも良いでしょう。
・行動療法【適応的な行動がとれるようになる】
行動療法は自分の行動を変えていくことや行動の種類を増やす事でストレスを減らしていきます。
例えば緊張しているときには緊張を感じたときには呼吸に意識を向けるなど動作に注目して自分をコントロールできるようにします。
認知療法や行動療法の基本的な考え方や目標がわかればその方向に向かって自分で認知を変えたり行動を変えたりするテクニックを使っていけばよいでしょう。
・行動活性化【悪い習慣を良い習慣に変えていく】
認知行動療法の中に行動活性化というテクニックがあります。行動活性化は、「不快な気持ちになる行動」や、「疲れてしまうような行動」を、「自分が心地よく感じる行動」や「楽しめる行動」に代替するという非常に手軽なテクニックです。
手順は、
①自分の行動リストを作る
②各々の行動を行うといい気分になるものには「+」悪い気分になるものには「-」特に気分は変化しないものには「○」をつけます。
例
マインドフルネス +
ぼーっとする -
筆記開示 +
ゲーム -
スマホ -
お風呂 ◯
ベッドに横になる ◯
筋トレ ◯
散歩 ◯
③リストの中で「-」のついた行動をする代わりに「+」のついた行動を行う
という単純な流れです。
例えばゲームをする習慣がついているとします。ゲームを楽しんでいるつもりが実はとても疲れてしまい、ストレスが溜まっていることに気づきます。そのためゲームの代わりにストレス解消になる行動、散歩を取り入れて、ストレス解消に使うというような流れです。
・IF THENプランニング【自分に良い行動を条件づけして叩き込む】
行動を変える手法として条件型目標設定(IF THENプランニング)があります。それは、
もし× ×したら〇〇する
× ×するときに〇〇する
と言うルールを作り、何度も実行したり、ルールをメモして音読したりして、自分に行動パターンを叩き込みます。
このテクニックの応用範囲は広く例えば誘惑に負けそうな時にどうするのかもIF THENプラクティスで行動を決めておくと対処できます。
決めておくのはまず何をするのかということといつするのかどこでするかと言うことを決めるとルールが明確になり扱いやすくなります。
例えば
「もし朝食を食べたらすぐにお皿を洗う」
「もし甘いものを食べたくなったらその場でスクワットする」
というふうにルールを決めて何度も実行して身体に覚え込ませます。
・まとめ
認知療法は認知の数、種類を増やし、柔軟性を上げることが目標
行動療法は行動を変える、行動の選択肢や種類を増やすことでストレスを減らしていく
行動活性化は自分にとってプラスにならない行動をプラスになる行動に代替する
IF THEN プラクティスで自分に対して行動を起こす条件付けを叩き込む
抗うつ薬の治療効果に匹敵するほどの効果をもたらすと言われる認知行動療法。どういったことを目標にしている療法なのかを知っていれば自分でも扱いやすくなりますし、治療効果や成果も出やすくなるでしょう。
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