【読書メモ】 自己肯定感持っていますか?

自己肯定感とは、「ありのままの自分を良しとする感覚」のことだ。「今の自分にOKを出す」という感覚だと解釈してもいい。

自己肯定感が低いと自分を責めてしまったり、他人の言動に振り回されたり、他人事なのに自分のせいだと感じてしまうというように、生活する上で苦しまなくていいところで苦しんでしまう。

今回紹介する本は自己肯定感について丁寧に解説し、自己肯定感を高めるにはどうすればいいかについてヒントが書かれている本だ。

自己肯定感を高めるにはどうすればいいか。この本では自分の良いところ、好きなところ探しでは自己肯定感は高まらないと書かれている。そして自己肯定感を高めるには他人をリスペクトすることが大事だと主張されている。

この本では他人をリスペクトするとはどういう意味なのか、それが自己肯定感を高める仕組みを解説している。

ここでいう「リスペクト」とは「〇〇だから尊敬する」という条件付きのリスペクトではなく、無条件のリスペクトのことを表している。無条件のリスペクトとは「相手のありのまま」を尊重すること。例えば、「いろいろと大変なのにあの人なりに頑張って生きているのだな」というような感覚だ。そういった態度や感覚を持てるようになると、相手にも事情があることも見えてくるし、更には自分の優しさを感じながら他人に接することができるので自己肯定感が高まることに繋がる。

・自己肯定感が低い例

①自己卑下

「私なんて」と考え自分を貶める

②がんばりすぎる

「〇〇すべき」と考え、自分の体調が悪かったり休息が必要なときにも自分のことを大事にせず、他者中心に考え無理をしていてもやめられない。

③他人に振り回されてしまう

自分の事情や気持ちを伝えられない。でも気持ちは汲んでほしい思う依存的な期待は持っている。他人の言動を自分のせいだと感じる。例えば誰かが機嫌が悪いのは疲れていただけなのに「自分がなにかしたのかな」と考えてしまい、他人の事情を考えられない。つまり自分を大事にしないと相手の事情に気づけない

④親しくなれない

「謙遜」ではなく、相手の優しさや思いやりを否定し、台無しにする。 自分が他人にポジティブな影響を与えられることに気づかない。

⑤決めつけが強い

「あの人はこうあるべき」など、他人や自分に対して理想を押し付ける。

⑥自分を無力だと思っている

⑦他人の言動に腹が立つ 

自分の言動を否定されてばかりで育った人は多様な意見を受け入れにくい。攻撃は驚異を感じた時の自分の反応

・無条件のリスペクト

自己肯定感を上げるには他人を無条件にリスペクトする。頑張っている存在自体をリスペクトするということ。

「〇〇だから尊敬」は条件付きのリスペクトなので無条件のリスペクトとは別物。条件付きのリスペクトは相手を「頑張っている」と思うと同時に「頑張れていない自分」を責めてしまったりする。

無条件のリスペクトなら他人と比較するようなものでもなく、自分も含めて「人間は頑張る生き物なんだな」というふうに感じられる 他人をリスペクトすると自分もリスペクトできる

人によって集中できなかったり様々な体質の人がいる。「あの人の現状にはいろいろな事情があって大変なのにあの人なりにがんばって生きてきたのだな」という感覚が無条件のリスペクト。

どんな事情があれ、その人なりに生きてきたという事実そのものを尊重する。相手を無条件にリスペクトするためには評価も条件も必要ない。

人はみな自分では動かせない条件に縛られていて、「できない」裏には事情がある場合が多い。心の問題は事情が見えにくく「怠けている」と勘違いされやすいが、本来人は向上したい生き物であることを忘れないようにする。

・リスペクトの原則

お互いの「領域」を守る。「決めつけ」は相手の領域を侵す。

人を変えようとするのをやめる。こうしたらいいのに~というのは立派な決めつけである。人は変えようとしても変わらないし、それは自分も同じで自分もなかなか変われない。人が変わろうとするにはタイミングがある。

だれにとっても「今はこれでよい」という認識を持つ。

リスペクトを示す話し方をする。「私」を主語にし、自分の領域」の中だけで話す。「あなたはこんなことを言ってひどい」と言うのではなく「そう言われると私は辛くなる」と伝える。「あなたは~」と話すと決めつけになってしまうかもしれないし、それは「相手の領域」の侵害になってしまう。

自他の区別をはっきりさせるとつながりがなくなってしまうと思う人もいるかもしれないが、実際はその逆で、相手とのつながりを感じやすくなる。

・自己肯定感を高めることについて

「自分を好きになりたい」ということは「今の自分が嫌い」ということ。

「自分が嫌い」では自己肯定感を高めるのは困難で、まずは「ありのままの自分」を受け入れるのが必須条件になる。

他人をリスペクトする。なぜなら自己認識よりも他者に対する認識を変える方が簡単だから 周りへの対応が自分に返ってくる 自分の優しさを感じながら他人に接することができる 

自分の良いところ、好きなところ探しは意味がない 自己肯定感は高まらない。

「〇〇すべき」で行動するのではなく、「〇〇したい」で行動する

「〇〇すべき」は他者中心で「〇〇したい」は主体的な思考。「べき」で生きると他人にも「べき」を強要するようになる。「したい」中心に考えると「べき」との関係が切れていく。「〇〇したい」に基づいて行動すると達成感が得られ、ますます自己肯定感が高まる。

ありのままを受け入れることと、内容を肯定することとは違う。誰かが陰口を言ったときに、陰口に同調して一緒に陰口を言うのではなく、「大変だったね」と言う。「陰口はやめようよ」と言うのは相手のありのままを否定していることになる

「ダメな自分」にも事情がある 「自分をダメだ」と思うようになった事情があると知る 「自分はダメだ」と思うのではなく、「大変だったね」と自分に言う

誰かに優しくすることで自分も元気になれる。

自分の嫌いなところに目を向ける そんな条件でも頑張って生きてきた自分をリスペクトする。

・つながり

ニセのつながりと本当のつながりがある。本当のつながりを作っていくと自己肯定感が高まる

ニセのつながりは相手に対するリスペクト不足が原因。例えば、群れているけど嫌われないように必死な関係や、恋人の意に反して束縛するのもニセのつながり。

本当のつながりは「自己肯定感」が育つ。「心」のつながりが感じられる ような関係。例えばあまり合わないけど心から信頼できる友達など。安全で、自分に評価を下されず、決めつけられないような関係。

自分が人と接するとき、「決めつけ」を手放しさえすれば自他ともにリスペクトできる。

共感は一見本当のつながりを築くものになると思いがちだが、「自分にも同じ経験がある」というのは今の自分が下した評価であり、「ありのまま」の相手を見逃す可能性がある。

ある一部だけを見て「私と同じ」と思い込むと相手の「ありのまま」を尊重できなくなる。これはニセのつながりをもたらす。「本当のつながり」は相手とのほんわかした一体感はあるけど、「私」は出てこないのが普通

自分が「ありのまま」でいられるときしか相手の「ありのまま」を受け入れることができない。「自分と同じ」を探さなくていい。

自分の領域なのに「それは間違ってるよ」とか決めつけられるときは「決めつけられた」と思い込むよりも「相手はそう思ったんだ」と相手の感想ととらえる。

お互いの領域を尊重し合うという原則は家族でも同じ 「自分が相手の領域に踏み込んでいないか」も疑う。「家族なのだからわかってほしい」というのも相手の領域に入り込んでいることになる。近すぎるのは本当のつながりではない。リスペクトしあえていればわかりあえなくていい。

「心を開け」と求めるのは暴力。

「よかれと思って」は単なる決めつけ。謝ったら許してもらえるというのも決めつけ。

もともと自己肯定感は備わっている。

・まとめ

自己肯定感を高めるには「どんな事情があれあの人なりに頑張って生きてきたんだな」という感じで他人をリスペクトすることが大事だ。そうすることで相手の事情も見えてくるかもしれないし、自分の優しさも感じられ、自己肯定感が高まる。他人に対する「決めつけ」もすこしずつ減らしていけると、より自己肯定感を高めることにつながるだろう。

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