004 星めぐりの歌
「profunda bluo」での新たな試み。
それは二胡奏者の凛子さん、景井 雅之さんとのコラボである。
凛子さんは、もともと舞台や映画の世界で芝居をしていた方で、2014年よりソロでの二胡の演奏活動をスタートし、2018年に1st Album「光の環」をリリースしている。
景井さんは、札幌のMATATABI RECORDSの代表で、舞台や映像作品、アーティストのプロデュースを行っている方である。
お二人との出会いは、宮澤賢治。
昨年末、私が宮澤賢治の研究者としてイベントに登壇し、そこで「星めぐりの歌」を演奏していたのが、このお二人だった。
シンプルにアコースティックギターと二胡による演奏だったが、賢治さんの世界が表現されていた。
その世界観にすっかり惚れ込んだ私は、お二人にアプローチ。
聞くと、凛子さんが賢治作品のファンとのことで。
早速、このコラボが実現することとなった。
とはいっても、音楽の畑がまるっきり違う。
果たしてこのコラボは成立するのだろうか、と一抹の不安もあった。
「星めぐりの歌」
宮澤賢治が作詞・作曲した歌である。
歌詞が童話「双子の星」にて用いられ、「銀河鉄道の夜」にも登場する賢治の作曲した曲の中で、最も有名な楽曲である。
「星めぐりの歌」の歌詞については、こちらに詳しく書かれているので割愛します。
もっと、詳しく解説を知りたい方は、亀岡さんという方が書かれたこちらをどうぞ。
http://asahi-lirio.org/chorus/zatsu/zatsu50.pdf
賢治自身、もともと音楽に造形が深かったのだが、その才能を伸ばしたのが、賢治の親友、藤原嘉藤治である。
賢治と嘉藤治の出会いは、嘉藤治が勤務する花巻高等女学校に賢治が訪ねたことがきっかけである。
お互い隣接した学校の教員だったため、頻繁に会うようになり親交を深めた。
その中で、二人は交換教授ということを行っていた。
音楽教師だった嘉藤治が音楽を教え、賢治はドイツ語を嘉藤治に教えた。
また、お互いに持ち寄ったクラシックレコードの鑑賞会を開いたりもしていた。
嘉藤治との出会いが、賢治の音楽的才能をさらに伸ばしたことは明らかだ。
私は、ひょんなことからこの嘉藤治さんの遺品を受け継いだ。
その中には、嘉藤治さんが編纂した宮澤賢治の全集(初版)もあった。
「星めぐりの歌」もここに載っている。
嘉藤治さんは、どんな気持ちで亡き賢治さんの作詞・作曲した歌を編纂したのだろうか。
今回、凛子さん&景井さんと歌った「星めぐりの歌」。
いつもは、心の底から絶叫している私も、全く違うアプローチで歌ってみた。
夏のキャンプ場で、
冬のヒマラヤで、
見た星たちに想いをめぐらせながら、
上を向いて、
心の向くままに歌ってみた。
寝床でむすめたちに聞かせると、一曲立たずにすやすや眠ってくれます。
良い曲に仕上がったという証拠じゃないか、と。
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