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短文学集

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筋も思想も体系も、全部気にせず楽しむことを短文学と称して日々の感傷を綴る。
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2019年10月の記事一覧

底徊

底徊

 どこやらで烏が鳴いた。頭上を黒い影が幾つか、西を目指して行くのが見えた。その後を追う温度の無い風の背を捕まえて、枯葉や蛾などが逃れるように西へ流れていく。
 空が、呑まれていく。あれほど天を焦がしていた夕日の、その下に瓦を輝かせていた人家の、休耕田の僭主たる叢たちの、その全ての色彩を抜き去るほどの暗い夜がやってくるのが見える。
 随分待ったものだ。空の果てに、その影を見つけた時からもう数時間が経

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