ロシア経済はご心配なく

先日、ウクライナを応援している反ロの方から、ツイッター上で下記の指摘がありました。
曰く
  ロシアは財政赤字を垂れ流していると思います。
  今のところ困窮していないのは
   ①国債を発行できているから
   ②国民福祉基金(NWF)を取り崩しているから
だそうです。

日本の「三菱UFJリサーチ&コンサルティング」の発表を元にそう思ったそうです。
私は日本の都市銀行との付き合いが長かったので、この手の銀行系コンサルのリサーチ能力と予想の酷さはよく知っているのですが、この方はUFJということで完璧に信頼しているようですね。
それはウクライナの応援団にとって心地よい情報でしょう。
そう思っているのなら幸せでしょうしそれで良いじゃない。
ああいつものパターンだ、別に説得する必要もないしぃ…
と思っていたのですが、本人に依頼されてしまいまして、ツイッターには収まらないのでここに反論させていただきます。

※ ちなみにNWFは石油による税収の一部を投資に回して運用している基金でゾブリンファンドのひとつです。

1. ロシアにはいくつかの基金がありますがNWFはそのひとつでして、財務省が管轄しています。
その他にもロシアには、中央銀行が持つ金や外貨の準備金があり、政府にも別に準備金がいくつかあります。

2. NWFはその中では大きいものではありません。

3. この他にも、公的な稼働資産(投資から外して必要に応じて動かせる資産、Reserve Assets)が合計約5900億ドルあります。
これはEUの約2倍、アメリカの約1.5倍の金額です。

4. 2022年の財政赤字は、GDPの2.3%相当ですが、EUの目標としている3%よりも低く、米国の3.9%の約4割しかありません。
なお米国は、ここ20年黒字になったことがありません。
ちなみに日本はご存じのとおりお恥ずかしい限りです💦

5. 石油は、OPECやロシアが減産するので価格はこれから上昇基調になり、安定するでしょう。
ウラル原油が北海ブレンドより低いのは、政策的な判断によるものです。
ロシアから出す価格は安くても、ハブ国で上がる利益の大部分をバックしてもらっているので是正する必要はありません。

6. これからロシアは製造業(工業)にも力を入れて行きますから、これによる経済効果も大きくなります。

準備金はEUや米国よりも豊富にあり
財政赤字はEUや米国よりもはるかに低く
今後収入増が見込まれる
そんな国をなんで大赤字の日本の銀行が心配するのでしょう?
と、ロシアの知人に笑われてしまいました。

今の情勢では、ロシアが破綻する可能性よりも、EUや米国といった西側諸国が破綻する可能性の方がずっと高いのです。
逆に言えば、EUや米国が破綻しないのなら、ロシアは破綻しませんよ。

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