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人生50年時代

人生100年時代。

・・そういわれた200年前。

現在は、人生50年時代だ。

100年前、突如人類に降りかかった災いにより、人間の寿命は大幅に短縮された。
進歩した医療も、”それ”には対抗することができなかった。
先進国があらゆる技術を結集させても。


”それ”が最初に確認されたのは、100年前の日本。
当時49歳の男性だった。

誕生日を1日前に控えた日の夜
突然男性は、「ちょっと行ってくる」

そう家族に伝えて夜中に外出しようとした。
特に用事もないのに深夜外出しようとする男性に、家族は「なんで?何しに行くの?」と言った。

「いや、違うんだ。行きたくない。・・・いや、行ってくる」

一瞬我に返ったような顔になって、「行きたくない」そういった後、再び顔が暗くなり、「行ってくる」と言ったそうだ。

家族は不審に思いながらも、男性を止めることはなかった。


そしてその翌日、男性は遺体で発見された。


当初、なにかのトラブルにより殺害されたのではないかということで、事件化されたのだが、結局、不審な点は見つからず、
死因解剖の結果、脳が極端に委縮していることが分かったため、認知機能低下による事故として処理されることになった。


しかし、その日から
同様の事故が相次いで報告されるようになる。


事故の犠牲者の脳は、やはり極端に委縮していたのだった。
そして、50歳を迎える前日に事故は起きていたのだった。


再び殺人の疑惑が上がり、全国的にこの事件が取り上げられた。
犯人の手がかりもなく、ウイルスや細菌によるものではないかという見方が広まったころ、アジアの全域でも同様の事象が確認されだした。


世界は、40代後半の被験者たちを集め、脳の状態について経過観察を始めた。

だが驚くことに、49歳11ヵ月までは、何の変化も見られなかったのだ。
それは49歳11ヵ月を過ぎたその日から始まる。

日に日に脳は委縮していき、そのスピードは指数関数的に伸びていく。
あらゆる投薬も効果はなく、誰もそれを止めることはできない。


「とうとう人間に天罰がくだったのだ」
「寿命が決まっているので計画的に生きれるようになる」
今日もメディアではコメンテーターが適当なことほざいている。


それが確認されてからの100年間は、あらゆる手を使って進行を止めるための研究が各国で行われた。

だが、人類は”それ”を解き明かす手掛かりすらつかむことはできなかった。


200年経った今、一部の人類はそれを受け入れようとしている。
「人生50年時代。最後の日を、誰と過ごしますか?みんなで考えよう」
「12月4日生まれの49歳、最後の日にはみんなで集まろう!」
「50年後を最高の日にするためにママができる最高のギフトは生まれる日にある!」
巷にはこの手の類のセミナーや教室、講演会、特集が組まれている。


しかし一方で、与えられた人生の時間を、思い通りに進められなかった人間が他人を巻き込んで最後の悪あがきをする事件も相当に増えている。




人間は何が起きてもどんな時代でも何も変わらないのだと思う。
たとえ寿命が50年になったとしても。










そして今日、
40歳の誕生日当日に女性が遺体となって発見された

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