見出し画像

企業の採用活動にゴールデンタイムはやってこない~続く売り手市場で勝者となる道

現在は転職が売り手市場になっていると言われます。採用企業より転職希望者の方が少なく、転職希望者が優位に立っている状況です。有効求人倍率が1.0を超えているのが目安とされています。日本企業の採用活動のトレンドについて過去の経緯を踏まえながら考えた記事をアップしました。

売り手市場となると、処遇の改善の検討を始める企業が増えてきます。この改善テーマの一つが賃上げ。賃上げして年収を上げないと採用上で競合したときに負けてしまいます。

転職エージェントも、賃上げを実施した企業を優先的に推進するに違いない。そうなると、事業計画に紐づく「人員計画」が達成できない。人員計画を立てた経営企画は人事部に達成できない理由を問う。すると人事部は「給料が安くて、選んでくれない」ことをあげてくる。

こうなると対策として、賃上げは前向きに考えざるを得ないことになります。こうした状況も賃上げを加速させる要因と言えます。ただ、日本企業は売り手市場でも賃上げなどの処遇改善を行ってこなかった。大手企業でも賃上げ率は2%前後で長く推移してきました。

どうしてそれでよかったのか。対策を講じる前に状況が変わってしまった。有効求人倍率が1.0を下回って買い手市場になり、処遇改善を先送りできたからです。

転職サービスを運営するエン・ジャパンの発表によると、転職前後の年収の変化に関する調査でも、賃上げに関して企業が意欲的になってきたことが明らかになりました。転職後の年収は2017年が中央値で22万円減っていましたが、2022年は7万円のプラス。企業の取り組みが大きく変わってきたことを示すデータです。

売り手市場の続く状況では、企業が差別化のためにも他社よりも早く、大胆な処遇を示すことが有意義な取り組みになります。しかし、賃上げを続けることができるはずはありません。他社が追随してくれば違いが示せなくなります。企業として賃上げ以外でも差別化できるものを探し続けていく必要があります。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?