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綺麗な資料はなぜ良いのか

今回の記事はVTUBERとは関係ないビジネス関連のものになります。
ビジネスパーソンの多くはパワーポイントを使った資料に触れた事があると思います。特に営業職の人は殆どの人がそれを使った提案や、自身でも作成した経験がある人も多いです。僕もサラリーマン時代は10年以上営業部に所属しており、最初は用意された資料を使用して、徐々に自身で作る様になっていきました。独立してからは逆に色々な人からの提案を、やはり殆どの場合はパワーポイントによって作成された資料をもとに受ける様になりました。

ある意味では僕の最も専門とする分野と言えます。とは言え実績がある人の方が説得力があるという意味では、サラリーマン1年目から営業部に配属されそこから10年以上ある期間を除いて常に営業成績はトップでしたのである程度は参考になるかとは思います。当然、口が上手いというのは資質として育った環境の影響も大きかった部分はありますが資料も成果の一助となっていた部分も大きいです。

■絶対評価と相対評価

サービスや商品を売る時に
サービスの内容と、その会社というのは必ずセットで見られます。

サービスの内容というのは絶対評価
会社というのは相対評価

になります。


■サービス内容と絶対評価


ここでいうサービスは、製品や商品に置き換えてもいいです。

どんなサービスなのか、どんな機能なのか、というのは絶対評価になります。そのサービスが与えてくれるもの、及ぼす影響、これは揺るがない実体として存在します。例えばわかりやすいものの一つとしてWIFI等があります。

法人抜けのWIFIであれば
① 価格(月額費用や初期費用など)
② 回線速度
③ 同時接続数
④ セキュリティ
⑤ 保守サービス・サポートメンテナンス
大体これらの要素で決まります。

サービス内容が絶対評価になるというのは購入者側にとって必要か必要じゃないか、プラスになるかならないか、という点で判断される為、最終的には絶対評価が基準となります。

上記①~⑤であれば
① 月額〇〇万円までなら許容できる
② Zoomでのウェブ会議が同時に10か所で行われるのに対応できる
③ 最大30人の社員が同時接続する
④ AES規格に対応している
⑤ 平日19時まで対応のサポートセンターがある
というのが最低限求められる条件とした場合、これを満たしているかどうかでのみサービスの良し悪しが決定されます。

そのため良い資料(或いは良い提案)というものは
・購入者が必要とする条件が満たされているかがわかる
・サービス導入後に何が出来るようになるのか(どう変わるのか)
・サービスを使用する為の必要条件は何か
というのが明確です。

工業製品のプロダクト紹介ページというのはある意味パワーポイントの資料の様なものです。スタイルが縦長であるだけで、それぞれの構成と言うのはページごとに分ける事ができます。

こちらはSONYのウォークマンの製品プロダクトのページです。
見ていただくとわかりますが非常にわかりやすい流れと構成になっています。最初にどんな機能があって、何が出来るのかといった説明があり、購入する事でどう変わるのかどんなメリットを享受できるのかがあり、細かいですが規格の部分で動作環境(使用条件等)が提示されます。

資料の中で重要なのはこの「必要な情報」が満たされているかどうかになります。例えば30ページに及ぶ提案資料でも必要な情報が満たされていなければ検討のステージにあがりません。逆に1ページでも必要な情報が満たされていれば検討のステージにあがります。
ちょうど良いのは必要な情報が満たされた上で、不要なページが無い資料です。

資料や提案書を作成する際にはこの視点があれば次のステップである綺麗かどうかに移ります。

■会社と相対評価

サービス内容に対して、どんな会社が、どんな人が売っているのかというのは相対評価、比較されます。

商売はこの①サービス内容②誰が売っているのかの2点で評価を下される事が多いです。貴方が誰もが知る大手企業の社員であれば当然ここは優位に働きます。この部分はある意味「信頼できるかどうか」の部分でもあります。

実際の現場に於いて、営業などの場では資料というのは会社を表す一番の指標になります。というのも世の中には綺麗な資料が溢れています。特に大手の会社では本当によく作られた綺麗な資料が多くあります。これを知らずに自身が所属する会社や組織内のクオリティにしか目線が行っていないと知らない間に低い評価を受けている事になったりします。

つまり、資料がダサかったり陳腐な感じだとそれは「この会社大丈夫なのかな」という評価になりやすいという事です。なぜか、前述した綺麗な資料が世の中には溢れていて、顧客はそれらも当たり前の様に目にしているからです。

これは面白いポイントで、逆に言えば会社概要、会社情報が最低限信頼に足るのであれば資料さえ綺麗であればそれなりの評価を貰える可能性があるという事でもありました。

2つサンプルを

「ビジョナル株式会社」
https://www.visional.inc/ja/ir/ir_news/auto_20210420496872/pdfFile.pdf

「あいち・とこなめスーパーシティ構想の実現に向けた提案書」
https://www.pref.aichi.jp/uploaded/life/398512_1758514_misc.pdf

まずはそれぞれのリンク先を見ていただくのが理解しやすいのですが、それぞれのサービスが実現する領域についてのスライドの比較が下記です。

この様にnoteにキャプチャで貼りだすと縮小されて凝縮された形で映ります。特に最近ではオンラインでの提案などでモニタ上に資料を投影する機会も増えているのでこういったデザインや綺麗さ見やすさというのはより如実に資料による差が相手に伝わりやすく、評価される事が増えています。
ビショナルでは7つの実現する領域を提示、あいちとこなめでは5つの実現する領域を提示しています。数は少ないにも関わらず後者の方はこの資料を提示された際に理解するまでにかなりの時間を必要とします。
対して前者はビズリーチがハーモスを用いて実現する7つの領域が一目でわかる形になっています。

不思議なもので綺麗でわかりやすい資料というのはそれだけで説得力が増します。逆に綺麗ではなくわかりにくい資料というのはそれだけで説得力が落ちます。
詰まるところ綺麗な資料というのはデザイン性も高く、わかりやすく、理解しやすいという所をゴールとしています。

この点を高いレベルで満たしている場合、仮に大手企業と競合比較されるシーンにおいてもサービス内容が同程度以上であれば勝負できるケースも発生してきたりします。

もちろん絶対評価であるサービス内容は大前提になりますが、同程度の評価である場合には綺麗な資料である方が有利に働きます。

ジャンルは異なりますが漫画のドラゴンボールの優れたデザイン性とわかり易さは、ドラゴンボールという作品の評価に大きく影響を与えているのと同じ様な感じかと思います。

■経営者の視点

以下は資料に盛り込むケースもありますし、盛り込まずに口答で説明するケースもあります。

経営者は全体に及ぼす影響を考えます。
基本的に営業や提案の場において、案内するサービスというのはその会社の運用の中の一部に対して何かをするというものが殆どです。

良いプレゼン、良い案内というのは、もちろんそのサービスのベースになる正面から見た案内が土台になります。そこに加えて、こういう視点で見るとこんな影響がある、こんなデメリットも一部ではあるかもしれない、という多視座的な案内があるものが良い提案であり、親切な提案です。もしくはそういう面を理解しているという事が大事です。

例えばレストランのオーナーにPOSレジの導入をすると管理が便利になりますよとプレゼンしていても経営者はそれを聞きながら
・このコストが加わると毎月の支出はどうなるのか
・これまでのものでも事足りるのではないか
・私は或いはスタッフはこのシステムを使えるだろうか
・このシステムは万が一の時にデータが消失するかもしれない
といった事も同時に考えていたりします。

加えて他にも実はその時受け手が気付いていない他の影響も多くあったりします。例えば安定して成績の良い営業というのは、予めそういった点も把握して提案をしていたりします。
これはどういう視点で物事を見るかでわかったりします。

先ほどのPOSレジシステムであれば
・現場スタッフから見た場合
・店舗予算を持つ店長から見た場合
・複数店舗をマネジメントするマネージャーから見た場合
・収支管理をする管理、経理から見た場合
・会社全体の利益を見る経営者から見た場合

それぞれ見る視点によってそのPOSレジシステムがどんな影響を与えるか変わってきます。サービス購入の最終決定をする経営者はこれら全てに与える、いわゆる全体への影響を考慮して購入を判断します。ですが、現場出身の経営者とかであれば現場寄りの影響は想像が付きやすいものの、管理部門に与える影響は想像が乏しかったりします。そういった際に提案者側から管理部門にはこんなメリットがありますという気付きを与える事はより検討を具体的な段階に進めてくれます。


■終わりに

今回の記事はあくまで資料、提案書、という側面に絞った内容です。それ以外にも関係性の構築であったり、心理的な面での段階の話であったり、期待値と実体との調整であったり、要素はいくつかあったりします。

また、これは僕自身の経験や学びからの共有なので主観的でもあります。ですので資料の質をものともしない極めて高いコミュニケーション能力を持つ人にとっては役に立たない情報である可能性もあります。

それに最終的に矛盾しますが、人は何かの決定をする時に最終的な判断基準を感情に任せる面も多々あるのでそのあたりもどこかで記事にできればしようかなと思います。



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