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人新世の資本論 ひとしんせいのしほんろん

緊急事態宣言がどんどん延長されて平常化してます。
ワクチン接種率もやっと半分越えてきそうですね。
証明書がないと酒が飲めないなんて可能性もありますが、、、

店が暇なんで逆にあれこれ手を出して取っ散らかってる感あります。
久々に書評メモ。

SDGsは大衆のアヘンである

冒頭からインパクトあります。でも表紙にも帯にも一言もSDGsって書いてないんですよね。世間的にはオワコンなのかな。

SDGsの行動指針をいくつかなぞったところで気候変動は変えられない。むしろその倫理的気持ちよさが免罪符になって民衆を麻痺させる。

150年も前にカール・マルクスがすでに予想していた現在の資本主義の状態と、ではどうする?ということについての本です。
全体的に偏ってると思われる印象だけど、個人的には全面的に共感する部分が多い。

先進国(という言い方ももうおかしいと言われて久しい)は今でも帝国的生活様式をおくるために、後進国=グローバル・サウスから搾取している。
資本主義は労働者と地球環境を犠牲にして無限に成長しようとするが、その犠牲は外部化され不可視化されているだけ。
資本主義よりも前に地球がなくなる。

4つの未来の選択肢。
① 気候ファシズム
② 野蛮状態
③ 気候毛沢東主義
④ 脱成長コミュニズム

① はこのままの経済成長を続け市場に任せ、超富裕層1%だけが裕福な暮らしをする世界。②で残り99%の人類は叛逆し、闘争が起こる。③はそれを取り締まり、資本主義も民主主義も機能しない独裁国家が成りより効率的で平和主義的な気候変動対策を進めようとする。

④は、それらとは違う道を提案する。

地球を「コモン」として管理する

コモンとは、社会的に人々に共有され、管理されるべき富。
エネルギー、インフラ、衣食住、医療、教育などを公共財として自分たちで民主主義的に管理することを目指す。

生産手段もコモンであり、生産者たちが共同で管理運営する社会=コミュニズム

欠乏を生んでいるのは資本主義
豊かさとは。私財と公富。価値と使用価値(有用性)。
資本主義は希少性を上げることで利潤を得る。コモンを囲い込み、独占して商品にし、価値を付けて販売する。生産は分業化され労働者は奴隷となり、商品を買わざるを得なくなった。

脱成長コミュニズムの柱

①使用価値経済への転換 大量消費大量生産からの脱却
②労働時間の短縮 QOLの向上
③画一的な分業の廃止 労働の創造性の回復
④生産過程の民主化 経済を減速させる
⑤エッセンシャルワークの重視 労働集約型の使用価値の見直し

気候正義 Climate justice
フィアレス・シティ、バルセロナ。社会運動から始まった市民による「気候非常事態宣言」
グローバルな自治体主義。グローバル・サウスから学ぶ。
人権、気候、ジェンダー、そして資本主義、全ての問題はつながっている。

経済、政治、環境の三位一体の刷新を
3.5%の人々が本気で立ち上がれば社会は大きく変わる


詳しくは読んでみて下さいってとこなんですが、要するにこれ以上地球環境の回復力以上の収奪をしながら経済成長は無理やんね、俺らも意味ない仕事ばっかり増えて無駄な時間使うより、必要な分をみんなで管理して使って楽しく豊かに生きていこうぜ。みたいな感じです。

クラフトビールも、こうあるべきって思います。酒はコモンなのかも。万人にとってではないかもしれないけど。

クラフトビールの企業のステージアップも基本的には大量生産大量消費を目指す規模の拡大。最近では世界的に有名なカリスマ的クラフトビールメーカーが日本で大手ビールとライセンス契約した。

ブリューパブがサスティナブルで地球環境にとって良いかどうかは正直分からないが、ブランディングやプロモーションで使用価値以上の価値を付けず、流通させずにフードマイレージを抑えて必要な分を必要な分だけ生産する。
そこで働く労働者は分業化もされず、コミュニズム化されれば。
飲食業も同じく労働集約型の仕事で、DXが進むにつれて業務の内容はより複雑でコミュニケーション重視な感情労働に比重が移っていく。

脱成長コミュニズムなブリューパブ経営が少し、見える。


15年前に「フラット化する世界」を読んだときは、世界はもっと平等に進化してもっと豊かな世界になっていくのかな?と思ったもんでした。
この本を読むと色んな本を思い出します。
チョコレートの真実、unfair trade、ヤバい経済学、ファクトフルネスなどなどなど。
どんなに賢い人が昔からいても世界はちっとも変わらない。

タイムズスクエアの交差点に立つと思い至るあの感覚。

「ハイパー消費社会の極みみたいな広告ディスプレイが色々考えさせられる。確かにこれは環境問題というより政治的な問題だ。少数の善人が多少サスティナブルな生活をしたところで世界は変わらんだろう。」

このままいけば映画インターステラーの世界のように、人類は地球を放棄して宇宙に逃げ出す算段を立てる。
砂嵐が吹きすさんで作物が育たない地球に大多数の人類を残して、人類の代表だけが宇宙空間にグルグル回る居住スペースを作って生き延び、のんきに野球をして過ごす。
それも最終的には「三体」の世界にようになっていくのかと思うとちょっと面白い。

ナウシカやアルジュナのように地球が怒って人類を救ってくれるかもしれないし、エヴァやひぐらしみたいに知らん間に世界は元に戻るのかもしれない。

個人的には市場原理は好きだ。ゲームと同じ。自由に好き勝手に生きたい。だから働いて稼ぐ。
でも無駄が多いのは嫌いだ。
消費して消費して消費して、そのために働きたくはない。
考えればわかることなのに、選挙に行けば良くなると思って思考停止してるのは嫌い。
その義務は民衆を麻痺させるだけの出来レースの様相。
資本主義が民主主義を歪めてるのは明らかなのに資本主義に執着するのも嫌い。
賢い大人が何人いれば世界は変わるんだろうっていつも思うけど自分も結局何もしないから一緒なんだと思う。

3.5%かぁ。久々に、なんかしてみようかなって思う本でした。
嫌悪感ある人もいるだろうなって思います。笑

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