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【映画】デイヴィッド・バーンのアメリカン・ユートピアを観る

デイヴィッド・バーン アメリカン・ユートピア公式ページ

緊急事態宣言でずっと公開延期になっていた、デイヴィッド・バーンのアメリカン・ユートピアが公開になった。
監督はスパイク・リー。せまい舞台で、グレーの細身のスーツにはだしのデイビッド・バーンと彼の楽団が、舞台でおどり、歌い、パフォーマンスする。
楽曲は、トーキング・ヘッズ時代のものから最近のものまで。デイヴィッド・バーンの集大成ともいえる。
今年70歳になるというデイヴィッドの声が、トーキング・ヘッズ時代と遜色なくよく通り、あれだけ動いていても息も上がらず、音程もしっかりしているのがすごい。
カメラは、このせまい舞台の上だけを移動していく。

彼の楽曲が、ピーター・バラカン監修の和訳字幕で流れていく。今まで流して聞いていた曲が、突然真実味を増す。
曲の歌詞をこれほどまでに考えて、映像と共に受け取ったのは久しぶりのことではないだろうか。
それぞれの曲の意味とパワーを知り、その曲をそれまで長い期間ずっと意識してこなかったことにショックを受ける。
今の人類の危機を、もう30年も昔に的確にアピールしていたんじゃないか。
なぜ自分がここにいるのか、自分がここにいる意味を模索し、涙が出てくる。
私はちゃんと自分の立ち位置を確認して、自分の舞台にいるのだろうか。

映画館じゃなかったら
新型コロナ禍じゃなかったら
あの舞台の下にいたなら
きっと一緒に歌って、腕をあげていただろう

発せられるメッセージはショッキングなのに、この幸福感はなんだろう
人類の崖っぷちを見せられているのに、こんなにも素直に身体に入ってくるものはなんだろう

そんなことを思いながら、映画館を後にした。
一緒に歌えないことがもどかしくてならなかった。

もう一度映画館で観たいと思う。
デイヴィッド・バーンが、トーキング・ヘッズが好きなら、
必ず観てほしいと思う。
人類の危機を少しでも感じるなら、絶対に観るべきだと思う。

そんなすごい映画。

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