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コミュニティに背中を押されてチャレンジする(#26)

この記事の初出は、Software Design 2024年5月号です。

はじめに

楽しいチーム開発をするためには、まず自分のエンジニア人生が楽しくあることが大切ということで、前回はコミュニティに参加することで楽しみながら成長する話を紹介しました。
今回も、コミュニティ活動を通じて成長につながるチャレンジがしやすくなる話をします。

初めての社外発表にチャレンジ

数年前、筆者が社外のコミュニティに参加して間もないころ、技術記事の投稿は何度かしていましたが、社外発表については「とても無理」と思っていました

でも、運営者ギルドというコミュニティのSlackにて社外発表をやった話が楽しそうに書き込まれているのを読んで興味を持ちました。
その中で、LT(ライトニングトーク)という言葉を初めて知りました。
LTというのは、5分程度の短い時間で発表する形式のことです。
勉強会などのイベントでも、数人のLTの発表者が次々に発表していく運営方法をよく見かけます。
5分の短い内容だったら、自分にもできるかもしれないと思いました。

そこで connpassというサイトでLTのイベントを検索した結果、自分が参加できそうなイベントを見つけました。
しかし、初めての社外発表に申し込むのが怖くもありました。
「どうしようか」とコミュニティのSlackの分報に書き込んだところ、コミュニティの皆が大丈夫だと背中を押してくれました。そのおかげで、勇気を出してLTに申し込めました

それでも、発表の前日には「こんな発表資料でいいのかな」と不安になりました。
コミュニティの人が「良かったら発表資料みますよー」と言ってくれたので、お願いしたところ。「素敵な内容ですね」と言ってもらえました。
そのおかげで、筆者は自信を持って初めての発表に臨むことができました。

そして発表当日、そのLTイベントは、オフラインで複数会場をZoomで画面共有しながらやる形式でした。
当時の筆者はZoomを使ったことがなく、LTイベントに参加自体も初めてだったので、どうすれば良いのかよくわからない状態でした。
そんな中、イベントの開催者が丁寧にZoomの使い方から教えてくれたので安心して発表できました
初めての発表は、緊張のあまり早口での拙いものでした。
それでも、参加者の方々から「良い取り組みなので参考にしたい」などのポジティブフィードバックをたくさんもらって、とても嬉しい体験になりました。

このように、筆者が初めての社外発表にチャレンジできたのも、その体験が自分にとって良いものになったのも、コミュニティのおかげです。
この良い体験があったから、社外発表が楽しい上に自分の成長に繋がるということが分かって、筆者はその後、何十回も発表することができたのです。

コミュティの立ち上げにチャレンジ

コミュニティの人たちのアクティブな活動を見ていると、それに感化されて自分も活動的になります。
コミュニティの人たちのSlackでの会話で、こんなやりとりがありました。

「ちょっとXXXの技術に興味あるんですよ」
「私もそれに興味あって勉強中です」
「じゃあ、そのネタでオンラインのLTイベントでもやってみますか」
「いいですね、やりましょう」
「connpassでイベントページを作りました、日時はいつにします?」

この様子を見て、「LTイベントの開催はそんな簡単なノリでやるものなのか」と衝撃を受けました

そして、それならば自分でLTイベントを定期開催するコミュニティを立ち上げられそうだと思えました。
当時の筆者は、社外発表するメリットを凄く感じていて、その最初の一歩が踏み出しやすいように、発表初心者を歓迎するコミュニティを作れたら良いなと思っていました。
そこで思い切って、参加人数が少なくてLT初心者が集まるオンラインのLTイベントを毎月開催する「Serverless LT初心者向け」というコミュニティを立ち上げました。

この立ち上げの際にも、所属コミュティの人たちが発表者をたくさん集めてくれて最高のスタートができました
参加者からは「楽しみながら初めての発表を経験でき、色んな学びを得られた」と言ってもらえたので、とても嬉しく感じました。

このように、筆者がコミュティの立ち上げにチャレンジできたのも、それが今でも楽しく継続できているのも、コミュニティのおかげです。

カンファレンスの発表に何度もチャレンジ

LTを何度かやって自分の発表が人の役に立つという実感が得られると、参加者がより多く集まるイベントで発表したくなってきます。
だから筆者は「カンファレンス」と呼ばれる規模の大きいイベントの公募セッションに応募してみました。

結果は落選でした。
コミュニティに参加していなかったら、初めて落選した時点で、筆者はカンファレンスでの発表を諦めていたと思います。
しかし、筆者はコミュニティの人たちが、次のように何度もチャレンジする姿を見てきました。

  • 個人開発のプロダクトを作って、それが良い結果にならなくても、次々に新しいプロダクトにトライし続ける姿

  • 自分の人生をかけて開発しているサービスが、なかなか良い結果にならなくても、どんどん思いつく試作や改善をやり続けて、成功するまでトライし続けようとする姿

  • その他、何かやってみたことが失敗しても、その失敗から学んで、次に活かそうとする姿

だから、筆者も1度の落選で諦めませんでした。
1度の失敗で諦めてしまえば、それは「失敗」という結果でしかありません。でも、成功するまで何度でも続ければ、それは「失敗」でなく「成功のためのプロセス」です
落選の経験を糧にして発表テーマを洗練させ続ければ、いつか成功すると考えて応募を繰り返した結果、Developers Summit 2020 KANSAI というカンファレンスで発表できることになりました。

チャンスが来たら全力を尽くすという姿もコミュティで見てきました。
だから筆者も、こんなチャンスは2度とないから人生で最高の発表をしようと考えて、2ヶ月間ほぼ全てのプライベート時間を費やして自分が納得するまで資料の改善や発表練習を行いました
その結果、ベストスピーカー賞1位を受賞しました。

準備期間中に、なぜすべての時間を費やすほど頑張れたかというと、コミュニティがあったからです。
発表内容の一部について、他のエンジニアの人達から意見を聞いたら、たくさんの意見をもらえましたし、準備を頑張っている事に対して、皆が応援してくれたりポジティブフィードバックをくれたりしました
だから、準備期間中は大変でしたが、とても楽しい時間に感じました。

そして、ベストスピーカー賞1位を受賞した旨を所属コミュニティで報告した時は、たくさんの喜びの声をいただきました。
カンファレンスの発表を見た人たちからも、凄く役に立ったという感想をもらって幸せな気持ちになり、さらに頑張ろうと思えました。
だから、たとえ可能性が低くても、カンファレンスの公募セッションに応募する価値はあると思いますし、筆者はチャレンジして良かったと思っています。

まとめ

他にも、技術書典で販売する本の共同執筆にチャレンジしたり、100人規模の参加者のイベント開催にチャレンジしたりなど、コミュニティに背中を押されて様々なチャレンジができました。
筆者はコミュニティに参加することで、楽しく成長につながらチャレンジがたくさんできて、自分のエンジニア人生が楽しくなりました。
本稿がコミュニティの魅力を知ってもらえるきっかけになれば幸いです。

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連載「ハピネスチームビルディング」の前回の記事はこちら↓


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