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生物の透明化はもう実現可能!?

今でも新種の生物は発見されており、つい最近「透明なカエルの新種」がアンデス地域で見つかり話題を呼んでいます。

これは珍しい!と思って調べると、結構透明な生物は以前から見つかっているようで、例えば下記サイトで特集しています。


透明になった進化の過程は想像を膨らませてくれますが(敵に見つからないため?)、SFで昔から使われる「透明人間」に代表される透明技術について最先端の研究を紹介したいと思います。

結論から言うと、用途によってはもう実用の域に達しています。

そもそもですが、透明を阻害するのは、生体を構成する水・脂質・タンパク質が光を散乱させる作用によります。
その問題解決に対して、下記の2つの方法があります。

  1. 散乱させる物質を除去する技術

  2. 人工的に散乱を制御して透明のように見せかける技術(透明迷彩)


1についてですが、シンプルに言うと対象となる脂肪やたんぱく質を溶液で溶かすやり方です。

歴史的には20世紀初頭に、ドイツの解剖学者ヴェルナー・スパルテホルツ(Werner Spalteholz)が初めて臓器を半透明化する有機溶剤の開発に成功しました。

その後半世紀以上も大きな進展はなかったのですが、20世紀末にその改良版がいくつか出てきました。
遺伝子技術の発展で、生体の臓器(タンパク質)自身をDNAレベルで編集して散乱を抑える仕組みも考案されました。

日本でもその研究は進んでいて、その1つがCUBICと呼ばれる技術です。
下記サイトはその歴史的過程も載ってますので、関心のある方にお勧めします。

ただ、これはどちらかというと研究者の体内研究目的で、実用化が進むものの、我々の日常生活とはちょっとかけ離れています。

ということで、人工的に光の散乱を制御する2の技術が登場します。

おそらくSFの世界では攻殻機動隊で登場する「透明迷彩」が、映画化もされており、下記の公式映像が一番分かりやすいです。


原理はある意味シンプルで、我々の目に入る光の屈折率をどう制御するか、です。

そして既にいくつかの企業がこの技術を実現しており、例えば下記のサイトで代表的な企業を紹介しています。

特に、上記最後に登場する「ハイパーステルス・バイオテクノロジー社」の技術は先進性を感じさせます。
大きな特徴は、可視光だけでなく、紫外線・赤外線・短波赤外線も曲げることが出来ます。完全なステルスですね。

公式HPにいくつか動画があるので、その技術の凄さをぜひご覧ください。

特に初めのシートは、「Quantum Stealth」と名付けられた新素材で、なんと外部電源がいらず、しかもおり曲げることができます。

どういう仕組みが非常に気になりますが、結構シンプルです。

シートの表面は凹凸状の構造になっており、これにより光を屈折させQuantum Stealthの奥にある物体が見えなくなるという仕組みになります。

これだけ聞くともう映画の世界は実現できそうな気がしますが、距離や角度によって透明度も変わりそうですので、常に完全な透明状態とまではいかなそうです。

なにより軍事用というのが残念な点です。ただ、公式サイトでも他の技術も紹介されています。
例えば、光発電でエネルギーを効率的に吸収する技術など、確かに本質的には光の散乱を制御する技術ですので、より社会課題に貢献できる可能性も秘めています。

ぜひ透明化技術がより良い社会を導く方向に活用されることを願っています。

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