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いくつもの目を持つ人工衛星の活躍

九州の人工衛星ベンチャーが、初の商用衛星打ち上げが決定したそうです。

世界を10分でスキャンと聞くと素直にワクワクしますね。
ただ、「SAR衛星」。なかなか衛星に詳しくないと耳慣れない響きだと思います。

今回は、衛星の種類についてその特徴を中心に触れてみたいと思います。

まず、SARとはSynthetic Aperture Radarの略で、「合成開口レーダー」と訳されます。
ちょっと小難しい響きですが、シンプルに言うとSAR衛星は「電波」を使って観測します。

それと比較すると、我々がよく見る衛星画像でなじみ深いのは「光学」、つまり目で見ることが出来るものをそのまま表示します。

「光(可視光)」も「電波」もおなじ電磁波ですが、その周波数が違うわけです。下記に基礎情報を引用しておきます。

「光学」は、我々がそのまま見ている世界を映すので常識的にわかりやすいです。
ただ、同時にいくつかの課題があり、代表的なものは下記のとおりです。

  • 雲など物理的な遮蔽物があると隠れて見えなくなる

  • 夜で暗い状態だと観測が困難

SAP衛星の「電波」方式では、ある程度物体を透過するため、天候が悪かったり暗い時間帯でも観測が可能です。

冒頭記事内のSAR衛星画像を見るとよく分かります。引用します。

出所:冒頭記事内にあるQPS研究所提供の写真

透過している様子がわかるでしょうか?
特にすごいなぁと私が感じたのは、右下にあるドーム型球場がガラス張りのようになっており、電光掲示板まで見えています。

これだけ聞くとSARに軍配が上がりそうですが、解像度(人間でいう視力ですね)は光学のほうが一般的に高いです。

また、SARの和訳に「合成」とあるとおり、複数の電波による反射情報を合成加工処理を施すため、若干光学写真と見た目が異なります。

昔私が見たSAR画像では、例えば大きな塔が傾いて映っている写真を見た記憶があります。

ただ、解像度と合わせて、その合成技術は日進月歩で向上しています。

例えば、SAR衛星も開発・打ち上げを行っている日本のSyspective社が、2021年秋にパリのエッフェル塔をSAR衛星で撮影したものを引用します。

もちろんカラーではないですが、それを除くと光学写真といっても気づかないと思います。

また、光学とSAR(電波)の2択だけでもなく、航空写真とのコラボレーションも実用化されています。

さらに、画像・映像を撮るだけでなく、その先の新しいビジネスモデルにまで発展している事例も出てきています。

例えば下記の事例。

要は、
衛星から農家の作業進捗・生育状況を確認して与信審査をおこなって農機具提供・収穫支援を行うという仕組みです。

宇宙から地上を覗いて新しいサービス開発を生むというのはとても斬新で面白いです。

この事例に限らず、宇宙から地球を見つめなおすことで新しくできることは色々ありそうです。

今後も複数の目を持つ衛星の大活躍をWatchしていきたいと思います。

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