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期待が高まる「再生医療」の近頃な話題

再生医療」は今の医学で最も期待されている分野ではないでしょうか?
もちろん功績の1つは「iPS細胞」の作製に成功した山中教授の存在が大きいですが、その背景には21世紀に飛躍的に進んだ遺伝子技術の成果もあります。

さて、そんな再生医療の分野で大きな成果が発表されたので、専門用語をあまり使わずに紹介したいと思います。

おそらく、関係者はこのニュースを見て相当興奮していると思います。

単純な器官を再生することは以前からある程度成功していましたが、腎臓は最も複雑な器官で、今まではパーツしか作れてなかったのが、全体の機能を実現するほど複雑な構造までつくりあげたよ、って話です。

まず先に、ES細胞と(文中の)iPS細胞の違いから整理しておきます。

ある種の細胞はいろんな器官に変化・自己複製することが出来、一般的に「幹細胞」と呼ばれます。
それをもとに人工的に作るのが「再生医療」ですが、上記2つはその作り方が違います。
ES細胞は(生まれたての)受精卵から、iPSは既に成形した細胞から作製するかの違いですね。
これだけだと、iPS細胞のほうが手軽に入手できて応用が利く(逆にES細胞は倫理面がよく話題になります)ように見えますが、人工的に育てた細胞と提供する患者との相性など、まだまだ試行錯誤が続いている状態です。

元の記事に戻ります。
そもそも腎臓は大きく3つの中間細胞が複雑に組み合わさった構造をしており、3つのうち2つまではES細胞とiPS細胞を駆使して生成に成功してきました。
残る1つの細胞(間質前駆細胞)の生成と、かつ上記2つと組み合わせることで、複雑な腎臓組織構造の構築に今回成功したというわけです。

完全に試験管から人工的に培養・精製したものです。今回はマウスでの実験ですが、これで人間への応用が見えてきましたね。

腎臓は再生化が難しい器官であると同時に、腎臓に伴う病気はますます増えており、健康面とそれを支える財政面の圧迫は社会課題となっています。
それをきっかけにして再生医療の道を志した方のインタビュー記事を紹介しておきます。

記事のとおり、国内には約1,300万人、世界で患者数は約8億5,000万人の慢性腎臓病の患者がおり、悪化して人工透析に要する医療費は年間1兆5,000億円で、医療費全体の約5%を占めます。

改めて今回の成果が今後の社会に大きく貢献することが感じられます。

今回のニュースのように、ES細胞やiPS細胞は既に知られ始めて大手メディアも取り上げるようになったので、我々の目にすることが増えたと思います。

実はいろんな細胞に変化する可能性のある幹細胞を用いたアプローチは他にもあり、日本で発見された「Muse細胞」もその1つです。

ES細胞やiPS細胞はある程度人工的に培養するテクニックが必要ですが、Muse細胞はそれを体内での自発的な機能に委ねることが出来ます。

まだ相対的にはメディアに載る機会は少ないですが、こういった取り組みにもぜひ関心を持っていただけると嬉しいです。

いずれにしても、再生医療の分野は可能性しか感じません。こちらでもまた大きな成果、または新しいチャレンジを見つけたら発信していきたいと思います。

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