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月へのロケット衝突と再生ステーション

ロケットが月衝突! なかなか刺激的なイベントが3月4日に起こります。

要は、過去打ち上げに使った使用済みロケット(SpaceX製)が、軌道が変わって月に衝突するので絶好の研究材料になる、って話です。

計画でなく偶発的というのが個人的には不安ではありますが、それによって月の研究につながるとポジティブな受け止めかたをしているので、心配はないのでしょう。

実は、月は馴染みすぎて意外に思われるかもしれませんが、どうやってつくられたかはまだ諸説あります。

歴史的には、当初下記の3つのシナリオが唱えられており、そして問題点が指摘されていました。

1.原始地球は高速で回転していてその一部がちぎれて月になったとする「分裂説」→地球との密度(元素組成)の差が説明困難

2.太陽系形成時に塵の円盤から地球と一緒に月が形成されたとする「兄弟説」→1に加えて、地球とコア相当の構造が全く違うことが説明困難

3.月は地球とは別の場所で生じ、それが後に地球の引力に捕らえられて衛星となったとする「捕獲説」→近場の同じ環境でないと難しいので2と同じ問題点

1970年代までは迷走気味でしたが、1980年代になって出てきた第4の仮説が現在は有力となっています。

その名も「ジャイアントインパクト説」です。なかなかワイルドなネーミングですね。別名「巨大隕石衝突説」です。

要は、地球半径の半分ぐらいの天体(火星と同じぐらい)が原始地球に衝突して、その破片が集まってできたという説です。

Credit:https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=8626942

どうですか? 正直私は初め聞いたときワクワクしました。そして某有名SF小説(継承的なタイトル・・・)を連想しました☺

とはいえ、まだこの説は最終確定ではなく、類似事象が複数起こったのだとする派生的な説もあります。(月の場所によって元素組成が結構違うため)

ジャイアントインパクト説は、上記3つの問題点をある程度説明できるのと、コンピュータシミュレーション上では起こりうる、と検証されたにすぎません。これは「重力多体問題」といわれており、今でもめちゃくちゃ難しいシミュレーションです。(「三体」問題のほうが、某有名SF小説で知られているしれませんね。)

ただし、その衝突が、生命創造に影響をあたえたであろう「地球自転の傾き」と「プレートテクトニクス(大陸移動)」を引き起こした可能性も示唆されており、とても×2重要な仮説です。
ちょっとこれ以上検証が進むのかは分かりませんが、個人的にはこちらを支持したい気持ちです。


さて、話を冒頭記事に戻します。

そんな我々(地球生命)とも因果が深そうな月に、宇宙ゴミの廃棄場が期待されています。

元々アポロ計画以降から、ある意味ゴミは蓄積されています。

ここで言っているのは、宇宙空間に漂うゴミを意図的に月に衝突させることです。
宇宙ゴミの問題については過去にも投稿しましたが、すでに見過ごせない課題となっています。

もう少し話を発展させると、単に月を廃棄場とだけみるのでなく、リサイクル含めて新しい資源を開発するための「再生ステーション」とみてはいかがでしょう。

実際に月での資源開発は、月以遠の宇宙空間に進出するための「スペースマイニング(宇宙採掘)」構想として真剣に検討されています。


我々の生命誕生に寄与した月が、改めて別の形で我々の生命のカギを握るわけです。

夜空を見上げたときの月がより愛おしく感じますね☺


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