日本国際賞2022と気候変動のはなし
2022年の「日本国際賞」が発表されました。
もしかしたら、この賞の存在はあまり知られてないかもしれません。
科学技術の進歩、人類の平和と繁栄に大きく貢献した科学者を顕彰するため1981年に設立されました。
もともとは、経営の神様「松下幸之助」氏による発案と基金によるものです。
今回は国内外約1万5500人の科学者や技術者の推薦による346件の候補から、3氏を選んだそうです。
そして、その3氏が評価されたのは、下記の2つのテーマです。
1.カタリン・カリコー博士 & ドリュー・ワイスマン博士
<授賞対象分野>
「物質・材料、生産」
<授賞業績>
mRNAワクチン開発への先駆的研究
2.クリストファー・フィールド博士
<授賞対象分野>
「生物生産、生態・環境」
<授賞業績>
観測に基づく先進的な定式化によるグローバルな生物圏の生産力推計と気候変動科学への目覚ましい貢献
1は既に国際的な評価としては揺るがない方々です。私個人の予測ですが、いずれは「ノーベル賞」受賞もほぼ間違いないと思います。
実は今回のパンデミックで「たまたま」mDNAの用途に光が当たり、それまではあまり関係者以外には知られてなかったですから、本当に歴史は不思議なものです。
今回は、2について掘り下げたいと思います。「気候変動」も人類共通の課題ですよね。
2021年「ノーベル物理学賞」でも、気候変動モデルの研究が評価された真鍋氏とハッセルマン氏二人の研究者に贈られました。
歴代のノーベル物理学賞でも、地球科学領域での受賞はもしかしたら初めてかもしれません。厳密にはノーベル財団は基準を明らかにしてませんが、いずれにしても、今回の日本国際賞受賞含めて社会的にも話題になっている証拠だと思います。
真鍋氏・ハッセルマン氏は初期モデル構築への発展、特に二酸化炭素排出による相関を統計的に明らかにしたものですが、今回のフィールド氏はよりそれをミクロ現象まで掘り下げてそのリスク影響をモデル化した方です。
元々は1980年代から光合成のメカニズムを研究しそのCO2排出速度を定量化したり、各地での長年のフィールドワークを行ってきた方です。
国際的協調が進んでいる温暖化抑制を目指したパリ協定(色々とすったもんだがありましたが・・・)は有名になりました。
実はこの科学的根拠は、国連が主導するIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)という国際的な科学者連合による調査結果ですが、その合同議長をつとめていたのがフィールド氏です。
元々パリ協定のためでなく、2008年の報告書から徐々にそのインパクトがメディアでも注目されるようになってきました。
もちろん個人の卓越的な研究成果が基盤にありますが、この分野は、各人・所属組織の地政学または政治的な思惑もありそうで、とりまとめは本当に大変な活動だったろうと推察されます・・・。
気候変動はリスク要因が複雑で、なかなか非専門の立場からは意見が出しにくい領域ですが、いずれにしても地球環境を保全して持続可能性のある未来を創ろうとする活動には、心から敬意を表します。
改めて、今回の日本国際賞受賞おめでとうございます!
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