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筑豊ブロック地域精神医療研究会(PNC)で講演を行いました。

こんにちは、筑豊の弁護士、藤岡です。

平成30年11月16日、筑豊ブロック地域精神医療研究会(通称PNC)にお招きいただき、講演をさせていただきました。

テーマは「精神障がい者の金銭管理をめぐる諸問題」です。

私は金銭管理について法的観点からお話をさせていただきました。

「自分の財産は自分で管理する」のが原則!

法律上は「自分の財産は自分で管理する」ことが原理原則となります(専門用語で「私的自治の原則」といいます。)。

お金の使い方が合理的ではないと思えたとしても、他者はそれに介入することはできません。

金銭管理が上手な人ばかりではない

しかし、もともと金銭管理が苦手な方もいらっしゃるでしょうし、精神障害や知的障害、認知症などによって自分自身で金銭管理をすることが困難な方もいらっしゃいます。

そうした方のケースにも「自分の財産は自分で管理する」という原則を貫いて適用していたのでは、その方が必要な福祉や医療を受けることが困難となってしまうことも想定されます。

金銭管理支援のための諸制度

こうした場合には「財産管理契約」や「日常生活自立支援事業」(社会福祉協議会)、「家計相談支援事業」(グリーンコープ)を活用して本人の金銭管理を支援することが考えられます。

また、本人の判断能力の程度次第では「成年後見制度」を利用することも検討するべきです。

限界も・・・

いろいろ本人の金銭管理支援のための制度は用意されていますが、限界もあります。

「財産管理契約」や「日常生活自立支援事業」、「家計相談支援事業」では、本人が拒絶する場合には利用することができません。

後見制度も、申立に協力してくれる親族がいるとも限りませんし、市町村長申立ても低調です。利用するにはいくつものハードルがあり手軽に利用できる制度というわけでもありません。

適法かつ手軽に金銭管理支援を行うのは現状ではなかなかの難問です。

現場では様々な工夫が行われている

そんな中、施設や医療機関が様々なアプローチをしてこうした支援につないだり、場合によっては入所者・患者さんの通帳を預かっているケースも目にします。

お金に関する事柄はトラブルに発展しやすいので、特に通帳を預かったりする場合には法的リスクについての準備が不可欠です。

個人的には施設や医療機関が本人の財産を管理するのはリスクを考慮すればあまりお勧めできないと考えているのですが、そうは言ってられないという実情もあります。

法的リスクをできる限り小さくできるようなスキームや実施方法を今後も考えていきたいと思います。

藤嶋勇治さんの講演、パネルディスカッション

飯塚市・嘉麻市・桂川町障がい者基幹相談支援センターの藤嶋勇治さんも登壇されました。

藤嶋さんは私の事務所の入っている「あいタウン」の4階にある「障がい者生活支援センターBASARA」のメンバーでもありまして、従前からいろいろお世話になっている方です。

高齢者・障害者の支援に長年携わってこられた方で、現場での様々な支援の実情や工夫をお話しされておりました。

その後、丸野クリニックの院長丸野陽一先生をコーディネーターとして私と藤嶋さんとでパネルディスカッションを行いました。

話題提供として丸野クリニックの取り組みが紹介されておりましたが、大変なケースにもかかわらず丁寧な対応をされており、本当に頭が下がる思いです。

今回の講演・パネルディスカッションが福祉・医療の現場の方々が日々直面される問題に少しでも参考になったのであれば幸いです。

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