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【書評】ジム・コリンズ『ビジョナリー・カンパニー3』--地味で地道が一番

 どんなに偉大な企業でもいつかは衰退する。もちろん、適切な経営者を選び続け、環境にも恵まれれば、その衰退は先延ばしできるだろう。しかし永久に続くものなど何もない。
 この第3巻でジム・コリンズは、不適切な経営者が危機に直面して何をやってしまうかを分析している。一言で言えばこうなる。本能的な危機意識に促されて一発逆転を狙う。大ヒット商品を生み出そうとして極端に大胆な手を打つ。あるいは、大型の合併で起死回生を狙う。マスコミで有名な経営者を社外から電撃的に連れてきて大々的な記者会見を行い、派手な戦略を取らせる。
 こういうものは全て駄目だ、とジム・コリンズは言う。それらはすべて、危機を前にして正気を失った経営陣が取りがちな悪手でしかない。そして微かに残っていた復活のチャンスをもぶち壊してしまう。
 逆に彼が勧めるのは、地道で冷静な経営戦略を取り、地味でも着実に結果を出せる、社内から昇進した経営者を選び、短期的でなく長期的に、日々じわじわと努力することだ。
 要するに、急がば回れということで、昨日の会社より今日の会社の方がほんの少しだけまし、という状況を作り出すべく、持続的に努力することが大事という話である。
 これは個人にも当てはまるだろう。ド派手なことをしたり、有名人と知り合いだと言って回ったりしても何の意味もない。ただ日々地力を上げることしかないのだ。
 確かにむちゃくちゃ勉強になる本だ。ジム・コリンズさん、こういう本を書いてくださり、どうもありがとうございます。

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