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【書評】野瀬昌治『はんだ付けの職人技』--日本一の達人って!

 中学生の頃、部活で電子工作をやっていた。部品屋さんに行っていろんな抵抗やら基盤やら導線やらを買うのは楽しかったし、回路図を見ながら組み上げていくのも面白かった。
 でも一つ問題が。僕ははんだ付けがどうにもこうにも下手なのだ。すぐにはんだがごろっと盛り上がったり、ぺろっと取れたり、あるいは溶けたはんだが玉になって転がっていったりする。それで作ったものを動作させるのは至難の技だった。
 当時の僕にはちゃんと教えてくれる人もいなかったので、何で自分のはんだ付けがうまくいかなかったのかは結局はよく分からずじまいだった。
 さて、大人になって本書を読むと、なぜあのとき失敗続きだったのかがよく分かる。設定温度が高すぎ、はんだごての先が汚れ、長い時間こてを当てすぎた。ということで、うまくいくほうがおかしかったのだ。いやあ、それもっと前に言ってほしかったなあ。
 この本を書いた野瀬さんははんだ付けの達人で、なんとタモリ倶楽部でもはんだ付け講師をやったらしい。要するに日本一の人で、なんだかめちゃくちゃかっこいい。
 彼は言う。道具選びが全てだと。ちゃんと温度設定ができて、適切な道具が揃えられて、基本的な動作が分かれば、はんだ付けはまず失敗しない。そうなのか。ほとんど福音を聞いたような感じである。はんだ付けに対する気持ちがまたもや激しく盛り上がってきた。

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