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上司が部下にするべきアドバイス

 上司と部下という関係はどんな時代でも存在します。でも、上司と部下がどんな関係であるべきかは時代によって違います。そして、上司が部下にするべきアドバイスとしてはいけないアドバイスがあります。本日は、そのような内容です。

 上司と部下の関係性を語る上では、その時代の日本の状況を理解せざるを得ません。所謂バブルの時代は、皆が潤沢にお金を持っていたので、とにかく物が売れました。一度買った商品が、機能も品質も変わっていないのに少しだけデザインが変わったらまた新しいものに買い換える、そんな時代です。このような時代はシンプルにビジネスが簡単な時代だったので、上司が「こうしろ!」と言われた通りに部下が動けば、それだけで成果が出ていました。正確に言うと、上司の「こうしろ!」よりももっと良い答えがあったかと思いますが、上司に従っているだけである程度の成果が出るので、それ以上の成果を高望みしなかったのです。上司に忠実に従っていれば、それだけで評価されて幸せな生活を送れたのが昔の日本です。

 では、今はどうでしょうか。現代の人々はとにかくお金がありません。本当に価値のある物だけを厳選して貴重なお金を支払います。機能や品質が変わらず見た目だけが変わっている物に対してお金を出そうとは思いません。こんな時代では、上司の昔ながらのアドバイスの言う通りに動いていても正解は出せなくて、現場を知っている担当者の思考の方が遥かに大事だったりします。

 以前、以下のようなツイートをしました。

 上司のアドバイスには、意味の無いアドバイスと意味の有るアドバイスの2種類があります。

 意味のないアドバイスというのは、実務に直結したアドバイスです。例えば営業職だったら「あのお客様はこうアプローチしろ」、人事だったら「こういう観点で採用しろ」、開発だったら「こんな観点で設計しろ」などです。なぜ、これらのアドバイスに意味がないか。それは、そのアドバイスをした上司が現役時代の経験から生まれたアドバイスだからです。上司の人が現役だったのはいつでしょうか。平成の常識は令和に通用しません。まずは、その対面している時代の違いを認識することが大事です。たった数年の違いと思われるかもしれませんが、ビジネスはたった数年で劇的に変化します。また、上司はたまたまそのポジションにいるだけという事を理解するべきです。上司は部下の上位互換ではありません。以下のnoteでも書いた通り、上司は部下の実務を分からないのが当たり前です。

 ではもう一方の意味の有るアドバイスですが、これは部下の視野を広げるアドバイスです。営業職だったら「隣の○○さんが調子良いから話してみたら?」、人事だったら「他社の成功事例聞けたから資料転送する」、開発だったら「会話してもらえるエンドユーザーリスト作ったから送っとくね」と。担当者というのは良い意味でも悪い意味でも目の前の業務に夢中になり、つい盲目的になってしまい周りが見えなくなってしまいがちです。周りが見えないと当然自分の視野の範疇でしか行動できないので成長が遅くなります。そんな「こうしたら上手くいくかもしれない」と思うきっかけを生むような、部下の視野を広げさせるようなアドバイスこそ、意味のあるアドバイスです。視野を広げた結果、そこでどんな角度で成長するかは担当者のセンス次第です。ここに上司は口を挟んではいけません。

 では、部下の視野を広げるアドバイスはどうすれば行えるのでしょうか。その入り口は”共感”です。上司という立場でいる以上、デザイン思考は学ばれているかと思います。もしここで、デザイン思考を理解できていない人がいたら、急いで学んでください。デザイン思考で重要な”共感”こそ、上司が持つべき感性です。まずは部下が置かれている状況を共感しましょう。そこから次にどうずれば良いかを一緒に考えるのです。観察して想像するのではなくて、共感して部下を理解するのです。このプロセスがとても大事です。

 ”課長”や”部長”という役職に付くと、偉くなった気がしますが、実際は偉いのではなくて役割がクリエイティブからマネジメントに変わっただけです。今の時代の現場で起きている事を担当者以上に理解している訳がありません。マネージャーの知識は良くも悪くも広く浅くです。特定領域の知識は担当者に勝てる訳がないのです。その事をきちんと理解し、部下に対して本当に意味のあるアドバイスをする事が大事です。

 

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