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ルールを後出しして叱らない-叱る(3)-

かつて、法律学科にいたころに、遡及法について学んだ。

法律は、施行よりも前に遡って適用しない。これをやってしまうと法治国家の前提が壊れてしまう。後出しのルールで裁かれては堪らない。

ただ、職場を見渡すと、ルールが後から出てくることが多い。

法律の場合、意志があればそれを見ることができる(読めるかは別)。法律を知らなかったというのは本人の責任だが、法律がなかったというのは本人の責任ではない。また、不文律は、明文化されていないから、教わらなければ意志があっても知ることができない。

僕も明確化されておらず、説明していない中での悪い結果については、叱らないようにしていて、ルールを説明し、逸脱していたと伝えるに留める。

ここで、問題になるのが「普通わかるだろ」だ。教える側には業務経験があるので、バイアスがかかる。もちろん、「掃除機では空気を吸わず床を吸う」ようなのは家庭教育での一般常識の範囲だが、「来客があったら挨拶をする」は来客のない時代に育った若手には教わらなければ分からないことなのかもしれない。

もちろん、マナー研修などはあるだろうけども、個別の事象を全てカバーしようと思うとマナー研修でも3日はかかる気がする。できているかはなかなかに怪しい。

ということから、教える側は、組織のルールや不文律などを示しつつ、随時コミュニケーションを取る必要があり、ルールを示す際には受け手にとって遡及法にならないように配慮する必要があるのだ。

そして、ルールがある中では、自分の行為をルールによって裁かせたらよい。法とは、本人にとってのセルフフィードバックツールなのである。

ちなみに、法さえないベンタブラックな企業に勤めている場合、上の話はお題目でしかないので即刻ラナウェイすることを推奨。

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