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3月6日 暖かな日 映画

 今日は休日。妻と共に吉祥寺まで映画を観に出かけた。緊急事態宣言中のため、己の楽しみのために出かける、ということに一抹の罪の味が混じる。冬の寒さが和らぎ暖かな日だったためか、吉祥寺の街は人で溢れかえっていた。商店街を歩く人の隙間をするりするりと通り抜け、たこ焼き屋の香りを感じながらパルコの重い扉を開き、エスカレーターを下り地下世界へ。足早にチケットを購入し、柔らかな赤いシートに座り、明かりが落とされる瞬間を待つ。予告編が終わると、劇場内は暗闇に覆われる。僕は、この瞬間が大好きだ。そこからは、その闇の中で存在するのは、映画と自分だけ。どれだけ観客が居ても、映画を鑑賞する時は孤独だ。その孤独感が心地いいのだ。

 今日鑑賞した『春江水暖』に関してあまりにも素晴らしかったので、別でレビューを書こうと思う。

 映画鑑賞後は、よく行くインドカレー屋へ。そこでとても敬愛するミュージシャンの方と遭遇した。妻と出かけるとたまにこういう事がある。持ってるなぁ、と思う。前に二人で高円寺の喫茶店でコーヒーを飲んでいると、隣席に某映画監督が居たこともある。妻にはこのような謎の引きの強さがある。

 帰り道、家の近くの公園を通ると乙女椿の花が咲いていた。幾重にも重なる八重咲きの花弁が綺麗だった。曇り空だったが、冴え渡る青空よりもむしろ灰色の空の方が花びらの淡い桃色と相性が良く感じた。曇天に映える花、というのもいいものだなと思った。

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