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書くことは旅すること【#30何があってもマイペンライ!】

今日で連載30日目。はっきり言ってしまおう。書くことはめんどくさい。仕事なら分かる。でも、このエッセイはお金になっているわけではないのに、めんどくさい。では、なぜ書いているのか。

ついでにもうひとつ暴露してしまおう。このエッセイは読者のためではなく、自分のために書いている。いや、大前提としては、今この文章を読んでくださっているあなたのために書いています。私のエッセイを読んで何か一つでも気付きを持って帰っていただけたら嬉しい。そんな気持ちで書いている。

読者に楽しんでいただきたいと思っているのは間違いない。でもきっと、読者以上に私が楽しんでいる。書くことはめんどくさいけれど、楽しい。なぜなのだろうか。

書くことは自己探求だ。自分はどんな理想を持っているのか。どんな人のことが嫌いなのか。人生をかけて成し遂げたいことは何か。文章を書くことで、自分の価値観がどんどん明らかになっていく。

昨日のエッセイで「しなやかに、したたかに」と書いた。けれど、最初からこう書こうと思っていたわけではない。テーマを決めたら書き始める。昨日は久しぶりに5時に起きたので、早起きをテーマに設定し、筆をとった。

この段階では、最後の一文をこのように書こうと考えていた。「やっぱり私には、5時起きが似合う」。どの口が言うとんねん。恥ずかしすぎる。

当初は「今日から毎朝5時起きするぞ」と書くつもりでいた。しかし書き進めていくうちに「別に5時起きじゃなくてもいいのでは」と思った。むしろ「絶対に5時起きするぞ!」という強めの思想が自分にとってマイナスになっているのではと。

強い思想が人生を加速させることもあるけれど、今の自分に必要なのは、もう少し柔らかい考え方だと思った。そして、以前に書いた「やるか、やるか、やるか」の新しい解釈が生まれたのだ。

当初のイメージとは全く違う結論になった。5時起きにこだわらず、6時でも7時でもいいじゃない、と。締めは「強さは脆さだ。私は強い男を目指さない。しなやかに、したたかに生きていきたい」。俺は5時起きが似合う男だ、と書かなくて本当によかった。

5時起きにこだわらない目標設定をした方がいい。しなやかに生きていきたい。書くことで、このようなことを考えている自分に出会えた。

書くことは旅に似ていると思う。旅する前に決まっているのは、ざっくりとした予算と目的地だけ。10万円くらいで東南アジアを旅しよう。そう決めて旅に出る。すると、思ってもみなかった景色に出会える。同じ予算で同じ場所に旅しても、10年前と今とでは全く違う旅になる。だから何度だって行きたくなる。

書くことも同じだ。書く前に決まっているのは、ざっくりとした文字数とテーマだけ。800字くらいで早起きについて書こう。そう決めて筆をとる。すると、思ってもみなかった新しい自分に出会える。同じ文字数で同じテーマで書いても、1年前と今日とでは、全く違う文章になる。だから何度だって書きたくなるのだ。

書くことは旅すること。旅立つ前は正直言ってめんどくさい。けれど私は知っている。旅の刺激と興奮を。だから今日も筆を持つ。


※この記事は2024年4月11日にTwitterにて公開したものです。

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