コイタイオト〜メルボルンシティにあるセブンイレブン〜Daft Punk
♪Daft Punk-Get Lucky
メルボルンには、いくつかマーケットがあって、僕も買い出しに通うようになった。トラムを乗り継いで、少し歩くと子供が喉渇いたというので目の前にあったセブンイレブンに入る。ここで身体に悪そうなコーラシェイクが1ドルなのだ。名前を知らなくてもビジュアルだけはすぐに思い浮ぶ、コーラシェイクを注ぎながらピカピカヘルメットの曲が流れてくる。
僕だけではないと思うのだけれども、人は未来の話が好きなんだと思う。
ジャンルで言うとSFということになるのだろうか。
僕が人生で初めて「ミライ」という言葉を意識したのは、小学生の頃に金曜ロードショーで「ターミネーター2」を見た時だった。
未来から裸のロボットがやってきて、現在の自分が死ぬと未来の自分がいない。
その時は理解できなかったけど、ものすごい恐怖だったことを覚えている。
もし未来人が少し前の自分を殺して、自分の人生がなくなってしまったらどうしようか、と本気で考えていたからだった。
もちろん、そんなことが起こるわけもなく、僕は今も生きている。
それから何年も経って「ジョンタイター」がやってきた。
彼は未来から来た人間で、未来を救うためにとある部品を取りに来たという設定だった。
彼は予言というよりか、すでに見てきた世界を伝え、それがよく当たっていた。
僕はこの時も本当に、タイムマシーンはあると思っていた。
きっと未来の法律で過去を塗り替えることを禁止されているんだと、勝手に想像しては未来の話に耳を傾けていた。
10年後を見据えたアーティスト
未来という設定を用いて、アルバムをリリースするアーティストが日本にもいる。
m-floというラップとDJと女性ボーカルの3人グループである。
サングラスが印象的なビジュアルで、女性ボーカルが途中で脱退し、そこから様々なアーティストをコラボレーションする活動がとても魅力的だった。
自分が未来を見据え始めたのは子供が生まれたからだった。
それまではその日を楽しく生きようと思っていたけど、第一子が生まれてから、未来の家族のあり方を想像するようになった。
実際に、10年後20年後の家族の年齢を書き出してみて、それまでに何人子供がいて、どのタイミングでお金が必要になるなど、具体的な生活に落とし込めるようになっていった。
人は放っておいても成長する、だから考えて成長させなければならない。
教育方針
自分の親に教育方針があったかどうかわからないが、僕は自分の親の教育の仕方を真似したいと思わなかった。
僕の親はどちらかというと過程を大切にするタイプで、例えば、僕がロックミュージシャンに憧れてギターを買って欲しいとお願いしたとする。
僕の親の方針は「アルバイトして自分で買いなさい」だった。
自分で汗水垂らして働いたお金で買うからこそ価値があるのだ、と本気で思っているようだった。
僕はそんな過程を踏まずに、その熱が冷めないうちに早く要望を叶えて欲しいと思っていた。
このおかげで、僕はいくつもの夢を諦めることになったし、平凡な人間になった。
もしかしたら、与えていても与えていなくても平凡な人間になったかもしれないけど、無駄な時間が多かったなと思っている。
僕の親は裕福な家ではなかったし、僕も裕福な家庭ではない。
しかし、僕はできる限りお金で解決できる子供の要望は叶えてあげたいと思う。
アルバイト
僕は学生の頃いろいろなアルバイトをやってみたいと考えていた。
しかし、実際には1つのアルバイト先を長く勤め上げるような終身雇用のような働き方をしていた。
最初に始めたアルバイトは、たこ焼き屋だった。
幼稚園児の頃に将来の夢をたこ焼き屋さんにしていたため「幼稚園時代の将来の夢を叶えられる人なんてなかなかいないだろう」という気持ちから応募することにした。
ここでは大学受験までの2年間ぐらいお世話になり、たこ焼きもだいぶうまく焼けるようになった。
大学に入ってから最初はイベントの警備の仕事を日雇いでやっていた。
様々なアーティストを見ることができたし、色んな場所にいって色んな人を見ることができた。
ただ、いまだに未来から来たという人に会えたことはない。
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