第一歌集『ねこのなまえ』5、あとがき
寒いとも冷たいとも感じないまま
ラムレーズンのスプーン舐める
もうすぐでつぼみ色づくときがくる
ゆらいでもめぐる季節
ざんばら
何周も走る一万メートルで
ななめに伴走者がいる
甘味
春だなぁ脳裡をしゅっと掠めゆく記憶
の
素敵な方だけたどる
囚われにいくのはいまだおそろしく
再婚
きかざるわたしはひとり
ざらざらの舌でからだを舐めあげて
指先磨く
ノラの正装
さきざきでタマ ミケ ミィとよばれても
みゃあとこたえる
わたしはわたし
(おわり)
あとがき
女の子、すきなひと、そのパートナー。
それぞれにものがたりがあって、
こころの揺れをみつめる目が六個ある。
自分の目に映る世界と
相手の目に映る世界が少しずつ違っている。
ごく自然に。
そのことがうつくしいとき、かなしいとき、
気高い猫をつい、思い浮かべます。
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