シェア
こい瀬 伊音 (こいせ いと)
2021年4月30日 09:51
こい瀬 伊音フローレンスあの夜ほどあなたの教えを破りたくなったことはありません苦しい呼吸音を朝まで聞きつづけた桜散るあの日のことです戴帽式であなたに誓ったものです「悪しき薬を用いることなく」とけれど指示の二倍、三倍量で少しでも楽にしてあげたかった安心してくださいあなたの弟子もまたヒポクラテスの弟子たちも決して賛成致しません東京五
2021年4月18日 10:34
ある晴れた日にてのひらで砂を掻いてさらさらさらさらとくるぶしまでを埋めましたすこし動けばゆびの間をくすぐってくすぐって砂は下へ落ちるそのつぎの日も次の日も砂を掻いてさらさらわしわしと足首までを埋めましたしっとりとぬるく、すこし黒いやがて雨が降る潮が満ちる波がその指を広げわたしを噛みにくるだれか私の足にもっと砂をもっと深く一歩も動けないように
2021年4月10日 11:30
こい瀬 伊音ひとりでいたときわたしは完全体だった両輪を揃え前進していけるうつくしさがあったきみといたいとおもってしまったときわたしは自分を手放した片割れをただきみに差し出してきみはわたしを抱き寄せるとき倍にふくらむわたしは半分になる不平等や不公平をいいつのるほんとうのわたしは眠ってしまったいまはただそれが落ち着く形だと言うのだから可笑