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電子レンジの宇宙(????/04/08)

唐揚げをプラスチック容器に入れたまま電子レンジで温めていたら、プラスチック容器が焦げて電子レンジ内で爆発した。

部屋中に煙が満たされ、気がつくと電子レンジの中に小さな宇宙が生まれていた。しばらく様子を見ていると、至る所に銀河が発生し、その中の小さな惑星で生物が活動を始めた。その生物は争いを繰り返しながらも文明を発展させていった。そのうち宇宙船を発明し、宇宙を旅するようになった。その生物は宇宙の彼方に何があるのか、目をキラキラと輝かせながら語り合っていた。

そしてついに、電子レンジの内側の壁に宇宙船が到達しそうになった。私は迷ったが、電子レンジの扉を閉めて、加熱ボタンを押した。ヴーーッという電子レンジの稼働音と共に宇宙は加熱され、熱に耐えられず消滅した。その生き物たちは目をキラキラと輝かせたまま焼かれて死んだ。

これで良かったのだ、と私は自分を納得させるしかなかった。その生物たちのキラキラ輝く目が、絶望で淀んでしまう様子を見たくなかったのだ。

この現実はフィクションです日記

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