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臨床ファッシア瘀血学(10)連動性と局所性(これまでのまとめ)

 これまでファッシアと瘀血に関しての境界領域を中心に、臨床的な理論を述べてきましたが、この辺りで少し概略をまとめてみたいと思います。

 鍼灸医学から量子医学まで、「ファッシア瘀血」を中心軸にしてきましたが、中でもファッシアの解剖学的な連動性と、瘀血を中心に出現する慢性炎症の局所所見が、その病理の中心を担います。つまり以下のようなまとめになります。「連続性」と「局所性」という二つの視点から、「ファッシア瘀血」の展開までをまとめてみました。

ファッシアの二大病理

1)連動性:ファッシアの特徴でもある引張構造による「引張性」だけではなく、そのコラーゲン線維により形成される「導管」(プレリンパを内包)としての役割も含む。病変としての重積により引張構造が破綻し、運動性が低下し、それに伴い瘀血病変が増悪するのが主な病理である。

2)局所性:局所的な慢性炎症により、免疫細胞が線維芽細胞を刺激するサイトカインを放出し、コラーゲン生成が促進された結果、過剰に配列不規則なコラーゲン線維が生じて「線維性癒着」や「重積」を生じる。そこには毛細血管の渋滞箇所が形成され瘀血が発生する。このモデルを「ファッシア瘀血」と本ブログでは仮称している。さらにはファッシアを形成する栄養成分の欠乏により、不完全な線維形成も局所病変の悪化を加速する。


具体的技法・理論との関連

1)連動性に関しては、ファッシア概観の水平構造を規定する「O-F」と垂直構造を規定する「A-F」が全体像をなす。詳細な機能解剖学的視点では、東洋医学的(鍼灸的)視点が有用で、自由電子による直流電流を基礎とした「正経・奇経」、神経細胞を介する交流電流や物理刺激を基礎とした「経筋」、力学的な張力を基盤とした「アナトミートレイン」が直観的に理解しやすい。応用編としては、ファッシアの連絡路を介した「熱」「(生薬の)有効成分」などの伝導を示した「経方理論」の隔を中心にした関連図も連動性に分類できる。これは腹診などの漢方的所見との橋渡し的役割を有するものでもある。腹診に限らず、東洋医学的体表観察一般に拡大できる可能性がある。かつて「帰経」によって無理に鍼灸と湯液との統合が模索されたが、より合理的な形で実現される日も近いと考える。

2)局所性は何より炎症所見に代表される。ファッシア瘀血により形成された慢性炎症所見により、マクロの「瘀血」が形成される。これが神経・血管との連携を経て、凝りなどの硬結や多彩な腹診所見を形成する。加えて、瘀血を「病巣」ととらえることで、遠隔臓器にまで悪影響を及ぼすことが推測される(病巣感染)。
 また局所での重積による疼痛は「筋膜リリース」「ハイドロリリース」などの方法により解決される。栄養による局所の慢性炎症対策も有用である。
 視点をさらに微視的にすると、量子論との関連も示唆される。生体マトリックス表面の結合水の同調状態が何らかの原因で乱された場合、微細な電流や、ホメオパシーなどの秩序を有する水分子の痕跡を介して復調される可能性がある。全身くまなく連続していると考えると、その表面の結合水の影響は想定外に大きいと言えるだろう。この視点からホメオパシーと鍼灸との接点を見出すことができると考えている。


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