小池統合医療クリニック

日本ではまだなじみの薄い「統合医療」という概念を紹介することを目的にしています。統合医…

小池統合医療クリニック

日本ではまだなじみの薄い「統合医療」という概念を紹介することを目的にしています。統合医療とは、ただ「代替医療」を適当に取り入れた医療ではありません。 関心のある皆様とともに「統合医療」を通して現代医療のもつ様々な問題を考えていければ幸いです。

最近の記事

マトリックス統合医学研究会が発足しました!

 週末はマトリックス統合医学研究会の第1回が、日本統合医療センター(JIMC)にて開催されました。急な開催予告にも関わらず、ご参加頂いた皆様には深謝いたします。  QPA(AWG)を取り扱うアジアス社の永田社長の多大なるご協力により、第1回が無事開催することができました。ファシアの基本知識の解説から、マトリックス医学におけるQPAの意義などを入門的に解説し、幅広いこの分野の広がりを理解して頂く第一歩になったのではないでしょうか。  今後は、マトリックス医学の諸方面での研究に

    • 特異性と非特異性に関して

       今週末は研究会なのでマトリックスとその介入の一つでもあるQPAという波動治療機器についていろいろ考えています。そこで気づいたことをメモ的に。  こうした治療機器、とりわけ波動などを謳うものは当然、現状の科学・医学で完全に説明されるものではないのですが、部分的には実感を含めて説明可能なところもあるわけです。  QPAという器機が、いわゆる波動系といったものと少し異なるのが、文字通り振動を感じるという点。これにより振動それ自体による効能が生じることになります。低周波治療器とし

      • ファシアとQPAについて マトリックス統合医学研究会のご紹介

         今週末に開催予定の「マトリックス統合医学研究会」についてのご紹介です。開催時間などは前回の記事の通りですが、今回は内容の紹介です。  まずは、ファシアと波動治療器QPA(AWG)の関連について。ファシアへの介入としては、総合診療領域を中心にハイドロリリースが有名ですが、これに加えて、当院ではファシア近辺で発生する瘀血への対応として「刺絡」を重要視しています。  但し、これらは、病変に対して「注入する」と「吸い出す」といういわば、INとOUTとでもいうべき方法論であるのに対

        • 「マトリックス統合医学研究会」のお知らせ

           このブログでもお知らせしてきました、マトリックス医学に関しての研究会を今月、立ち上げることになりました。定期的な講演会や勉強会、波動治療器QPA(AWG)の体験会など、様々な企画を考えております。まずは、オープニング企画のお知らせです。  講演の部では、私が量子医学からファシアに至る「マトリックス医学」の概略を解説します。QPA(AWG)に関しては実際に、治療器を体験することが出来ます。ともに前提となる知識はいらないので、初めての方もご遠慮なくご参加ください。 第1回 マ

        マトリックス統合医学研究会が発足しました!

          ふくらはぎ力(世界文化社)の新装版

           もう「ふくらはぎ」ブームもずいぶん経つのですが、血流改善の重要性はいつの時代も変わらずなので、ふと思い出した時にはぜひともやって頂きたいセルフケアの一つです。  そんなことを考えていたら、かつて市野さおりさんと共著で出版した「ふくらはぎ力」が新装版で、装いも新たに出版されることが決定しました!  この本は、現在のマトリックスの基本的な考えと、身体における「縮退」の意義などにふれた初めの方の本なので、今回原稿を読み直し、とても懐かしく感じるとともに、マトリックスの考え方の重

          ふくらはぎ力(世界文化社)の新装版

          マトリックス医学への道(増補改訂版)

           以前、分割して載せた記事の検索数が多いので、読みやすいようにまとめ、かつ少し現在の状況に合わせて改訂した原稿を掲載します。  ここで話題にする「マトリックス」という概念は、ファシアという今まさに、ホットなキーワードのおそらく背景となる、大きな枠組みになっていくと思います。近いうちに、マトリックス医学としてのさらに大きな研究の枠組みをご紹介できると思いますので、それに先立って読み返して頂ければ幸いです。 Ⅰ  生体マトリックスの理解を、物質的基礎となるコラーゲンから始まっ

          マトリックス医学への道(増補改訂版)

          データから身体を推測する 化学的マトリックスの一例として

           統合医療関係の採血検査というと、どうも遺伝子検査や副腎疲労関係の米国での検査を思い浮かべる方が多いようで、時折、当院にも問い合わせがきたりもしますが、そうした珍奇な検査群はほぼしていないのが現状です。それらが悪いという事ではなく、通常の検査項目ですら、しっかりと説明されずに理解できていない方がほとんどの中で、それほど高度な専門性の高い、そして高額な検査をするまでもなく、通常の項目でかなりのことがアドバイス可能です。  いわゆる臨床検査医学領域で使われるリバースCPCの方法を

          データから身体を推測する 化学的マトリックスの一例として

          5Matrix & 5Fascia 最近の概念のまとめ

           やや雑然としていたマトリックスについての概念をもう少しまとめました。様々な階層の概念が入り混じっていたのですが、5つにまとめました。これに伴い、ファシアはこの概念の医学的な中心でもあるので、さらに詳しく5つの概念(トピックス)にまとめてみました。これにより自分のアタマが整理できました(笑)  広くマトリック医学とした時の代表的な5概念。 5Matrix 1)ファシアマトリックス(末梢⇔内臓・双方向性、コラーゲン・ファシア・線維化等) 2)物理・化学マトリックス(温湿度

          5Matrix & 5Fascia 最近の概念のまとめ

          今月9日はジャングルカンファレンス!

           連休もいよいよ本日までですね!連休明けの木曜日、9日が今月のジャングルカンファレンスとなります。カンファレンスの常連メンバーも、プライベートや仕事の関係で、そこそこ入れ替わり、また新たな感じでのスタート、とも言えそうです。新メンバーも多く加入しますので、カンファレンスにご興味ある方は是非ご参加下さい!  今回は、しばらくぶりに私が症例を提示しますので、ここ最近の診療パターンなども交えてお話しようと思います。特にファシアから内臓、内臓からファシアという流れを考慮した診察形態

          今月9日はジャングルカンファレンス!

          マトリックス医学の概略

           様々な観点でマトリックス医学を描出してきましたが、ここで現状での概略をまとめてみたいと思います。そもそもマトリックスは生物学的には細胞質などの表現として用いられていますが、一般的な意味での基質、母体、内容物に対しての梱包材など、幅広い意味を持ちます。ここではそうした広い意味でとらえていきたいと思います。梱包材(実体・実内容)といった形で列挙してみます。 1)ファシア<collagen, fascia, fibrosis> ⇔(組織・臓器) 2)物理・化学・環境<温度・気圧

          マトリックス医学の概略

          マトリックスとしての微生物の存在 細菌・真菌・寄生虫

           マトリックス医学の展開の一つとして、病態形成におけるマトリックスとしての微生物について、メモ的に考えてみたいと思います。  以前から、外傷のない蜂窩織炎の発症を何度も経験しているのですが、時折テレビなどではブドウ球菌等の細菌が「なぜか」詳細不明で、蜂窩織において炎症を生じるといった説明がされています。またはどこか見つからないところに、小さな傷が出来てそれが原因、といった説明がされることもあります。  ただこれらに関しては、発症の経過を観察していると、血中に存在する細菌が、

          マトリックスとしての微生物の存在 細菌・真菌・寄生虫

          ファシアの病態についての考察(神経堤・EMT・関連痛など)

           線維化病態を含めたファシアの病態についての考察のメモです。  「コラーゲン➡ファシア➡線維化」といった階層で考察していきます。まずはコラーゲンからの変化についての介入として、ビタミンC点滴や栄養療法などが挙げられます。次いでファシアから線維化への流れは、コラーゲン線維周辺の水分子の状態(これ自体がエバネッセント光など生気論的な生命観とも強く関係)と、その異常が集合した形でのファシアの重積病変もしくは血管病変(ビタミンC欠乏による壊血病も考えられる)、またはフィブリン網(フ

          ファシアの病態についての考察(神経堤・EMT・関連痛など)

          外縁としてのマトリックス医学再考 「外辺医療」を考える

           マトリックス医学の概略を考える中で、人類学の新しい見解から大きな示唆を得ましたでの少しメモしておこうと思います。  世界史・人類学に関しては、これまで騎馬民族を起点として全世界史を概説した栗本先生の説が最も納得のいくものだったのですが、これをさらに補強する視点の解説が『反穀物の人類史』(みすず書房)です。  狩猟採集民から発展して農耕民となり、国家の形成へとつながるという従来の定説?とされる常識を覆すようなスリリングな内容です。本文においては、狩猟採集民を野蛮人とし、農耕

          外縁としてのマトリックス医学再考 「外辺医療」を考える

          カフェのもう一つの参考図書 「過剰医療の構造」

           統合医療含め、コロナ禍を経過した現在、あらためて「医療」の問題を強く問いかける本です。同業には受けないというより、まさにタブーに近い内容かな、とも感じますが、我々は改めてここでの著者からの問いかけを何らかの形で実行すべきだ、と強く感じさせられる内容でした。  そのため今週のジャングルカフェの前に、もう一つの参考図書として下記のものを挙げたいと思います。雑誌の特集を書籍化した内容なので、全体としては解説あり、対談あり、の読みやすい内容だと思います。  今度の課題図書は、幕末

          カフェのもう一つの参考図書 「過剰医療の構造」

          統合医療総論の構築 (総論の脱構築による組織運営論への第一歩)

           前回、少し記載した統合医療の総論について解説してみましょう。内容が内容ですので、分かり易いとは言い難いのですが、出来るだけ簡易に述べてみたいと思います。  内容の性質上、以下、である調で述べます。  統合医療の総論の骨子として、大きく三つのカテゴリーに大別して考えることにする。 第一は、統合医療が「統合医療」であるための最低限の要素、つまり「原則(プリンシプル)」。  第二は、実際の在り方、つまり診療を中心とした医療としてのモデル、さらには実社会への適用としての社会モ

          統合医療総論の構築 (総論の脱構築による組織運営論への第一歩)

          組織運営論としての「統合医療総論」という考え方

           最近、統合医療総論の作成に係っており、そのために内面で統合医療とは、という問いに向き合うことが多くなっています。そうした中で、診療とは別に、色々な組織やらカンファレンスに関わる機会も増え、次第に、組織の運営にも統合医療総論が役立つのではないか、と思うようになりました。  何も統合医療は別に万能だという考えや実感もないのですが、硬直した組織や考え方、もしくは新たな方向性の模索をするにあたっては実に有効な面が多くあるのです。  その第一が、原則の1でもある「補完性」という概念

          組織運営論としての「統合医療総論」という考え方