第33椀 光秀の猪汁
初出:2016年12月8日
<お味噌汁> ひと椀がつむぐ大切なもの それは日本のたから
戦国武将と味噌シリーズその10
「光秀の猪汁」
戦国時代には「汁講(しるこう)」と呼ばれる「味噌汁パーティー」があったそうで、ゲストはご飯を弁当箱に詰めて持参し、ホスト側はお味噌汁を用意するというものです。明智光秀がまだ貧しい時に汁講の幹事がまわってきてしまったのですが、妻は恥をかかせまいとして自分の髪を売って猪の肉を買い、猪汁を振る舞ったことで光秀の株がぐんと上がったという逸話があります。
このように戦国時代ではわりと食べられていた獣肉ですが、江戸期になりますと生類憐れみの令などもあり、表向きには食べてはいけないものでした。ところが結構こっそり食べられていたようで、江戸では猪の別名「山くじら」なんていう看板を堂々と掲げているお店もあったそうです。
猪肉は味噌と大変相性が良く臭みを消してくれる役割もあり、たいていはたっぷりの根菜と味噌で煮込んだ猪鍋にして食べられていたそうです。明治に入って養豚がさかんになったことで、猪鍋を豚肉で代用したものが豚汁のベースだとワタシは考えています。
余談ですが、沖縄の「いなむどうち」という豚の三枚肉を使ったお味噌汁も、昔は猪肉で作っていたそうで、「いなむどうち」というのは「猪もどき」、つまり豚肉という意味だそうです。というわけで、我が家も「猪もどき」の豚汁を作ってみました。豚汁は鍋たっぷりに作りたいですね!
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「光秀の猪汁」
出汁:昆布
具材:豚肉、ゴボウ、レンコン、こんにゃく、長ネギ
吸口:おろしショウガ
味噌:手前味噌(米麦混合麹)
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