『リッツ・カールトンホテル出身の2人による特別対談』 福島 靖×田邉 公一 [Part 3 質問コーナー編]
田邉:福島さんとの対談シリーズは今回で3回目となります。前回の対談記事をまだご覧になられていない方は、二人の自己紹介も兼ねまして、まずはこちらをご覧いただければと思います。
第1の質問 〜クレドの実践〜
田邉:今回は、先日Twitterを通していただいた質問に、我々がお答えするという形で、お話を進めさせていただきたいと思います。
福島さん、では今回もよろしくお願い致します。私自身、福島さんからまたどんなお話を伺えるのか。とても楽しみです。
福島:田邉さん、こちらこそよろしくお願い致します。今回もとても楽しみですね。
田邉:なるほど。これはまさに社員として勤務していた我々にしかお応えできない内容なのかもしれませんね。福島さんと私が同じ認識であることに違いはないと思いますが、ここは是非、長年勤務をされていた福島さんにお応えいただきたいです。
福島:田邉さん、かしこまりました。では私がお応えさせていただきますね。まず、「クレド」をご存じない方もいらっしゃるかと思いますので、簡単な説明をさせて頂きます。
クレドは、ラテン語で「信条」を意味します。馴染みのある言葉に訳せば、「理念」と言えるでしょう。この理念は、多くの企業で存在しますよね。しかし、維持浸透されている企業は多くは無いでしょう。一方で、リッツ・カールトンが維持浸透に成功した理由は、ずばり「ラインナップ」という名の、“一日二度”のディスカッションにあると考えています。
この場では、リッツ・カールトンのクレドに基づいたディスカッションが行われます。例えば、「We are ladies and gentleman serving ladies and gentleman」というリッツ・カールトンを象徴する哲学がありますが、これをラインナップにするとこうなります。
「〇〇さん、あなたはこの哲学についてどう思いますか?」
「〇〇さん、あなたはこの一週間で、この哲学をどのように実践しましたか?そしてどんな気付きがありましたか?」
この様に、必ず自分なりの意見を求められるのです。多くの企業では、理念の唱和こそ行われていますが、この様に理念について「どう思う?」と個人的な意見を尋ねる事は稀ではないでしょうか。
このラインナップの狙いは、社員一人一人が「クレドを通して、自分の意見を持つ事」にあります。私たちはそもそも、リッツ・カールトンのクレドに共感して入社しました。しかし、いくら共感したとは言え、このクレドの一語一句は私が作った言葉ではありません。つまり、“限りなく似ている、他人の理念”なのです。
そこで、クレドに基づいた「あなたならどう思う?」と質問をします。すると、自分の想いや言葉とMIXされ、クレドを通した“自分だけの意見“が生まれるんです。
自分の意見ですから、スッと腹落ちをする。これが浸透です。そして、浸透を促す手段が「ラインナップ」という事になります。
田邉:福島さんありがとうございます。まさにその通りですね。共通の理念を下に、個々がどのようにその考えを理解し、行動に移すか。ここを毎日確認し合うことが大切です。「ラインナップ」懐かしいです。あの時間はとても緊張感がありました。
第2の質問 〜ワインの持ち込みについて〜
それでは次のご質問に移りましょう。
田邉:なるほど...
私の考えとして、スパークリングワイン等、一般的にお祝いや乾杯を交わすことを連想させるようなワインは避けることが、まずは大前提となります。
その上で、その方がお好きだった、もしくはポジティブなストーリーにまつわるようなワインであれば、問題はないと思います。例えば、その方がよく旅をしていた国や地方、ご出身地のものや、好物だったお料理とよく合うもの等。もしそういったワインがない場合は、あえて他のものをお持ちになられた方が良いと思います。
これはどういった会にも言えることなのですが、どのような方がご参列されるのかをよく考えた上で、その場にふさわしいものを慎重に用意をしたいところですね。「なぜそれを持参したのか」これを明確に説明できることが大事だと思います。
福島:実は僕も以前、祖父の法要にワインを持ち込んだ事があります。その時は、確かフランス・ロワール地方の辛口白ワイン「サンセール」でした。法要後、近くの和食店で祖父が好きだった魚の鍋料理を囲みました。その情報を事前に聞いての持ち込みです。
ワインに慣れていない人が大半だったので、最初は驚かれました(笑)そこで僕は、今は東京のホテルで働いている事、ワインの勉強をしている事などを話し始めました。そして、白身魚の鍋に合うのはこの一本である事、祖父にも僕が選んだワインで鍋を食べて欲しかった事。すると、みんな喜んでぐいぐい飲んでくれました。4本持ち込みましたがあっという間に空っぽに。
これは田邉さんと共通する意見ですが、大切な事は「なぜ、このワインを選んだのか?」と理由を説明できる事ではないかと思います。もしも選んだ物語に共感してくれれば、どのワインでも受け入れられるのではないでしょうか。
*Part4に続く
38歳 / 外資企業にて営業マン7年目 / 前職リッツ・カールトン・ホテルに勤めていた時に発見した“お客様の記憶に残る技術“を生かし紹介だけで営業 / Twitter(@YasushiBoeing)で「特別な体験は、日常の中に転がっている。」をテーマに、明日から仕事がちょっぴり楽しくなる情報発信中。
43歳/タイソンズ アンド カンパニー、アニス、アミュゼ、マイアム、とさか六本木のワインディレクター。ワインスクール レコール・デュ・ヴァン講師/ワインや日本酒のコメンテーター、プロモーション活動も積極的に行っている。Twitter(@tanabe_duvin)
* 2007年 第6回 キュヴェ ルイーズ・ポメリーソムリエコンテスト 優勝
* 2019年 第1回 SAKE DIPLOMAコンクール セミファイナリスト
*レコール・デュ・ヴァン 講師紹介ページhttps://www.duvin.jp/instructor/tanabe
最後までご覧いただき、心より感謝いたします🥂