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遥かな時代の階段を

昨年の夏以降、ずっと、就職活動に苦戦し、一時は、官庁を受けるなど迷走をしていたのであるが、此度、ようやく次の仕事が決まり、次週より再び市場へと舞い戻る事になった。しかしながら、これまでの転職とは大きく異なり、自身の専門としていたアプリケーション開発やベンダー管理等のIT関連の仕事ではなく、今後はバックオフィス(事務)一本となる。
実の所、八年前に監査法人で勤務した際、自身の希望で一度、事務職に転身していたのではあるが、なまじIT関連の知見がある為に結局、技術関連の仕事の比重が大きくなるなどし、バックオフィスのスタッフであるにも関わらず、SE(システムエンジニア)なる、私としては非常に不本意な称号を与えられる事態が続いていた。多くの日本人同様、私は情報工学のみならず、あらゆる技術に精通しておらず、関心も極めて低い為、今回の転職に際してはエージェントと真剣に相談をし、IT技術者としてのキャリアを完全に捨て去り、時代に逆行している事は重々承知の上で、デジタル技術が殆ど不要な仕事に就く事になった。実の所、コンサルタントの採用試験もパスしてはいたのであるが、関心のない事を延々続ける事に流石の私も疑問を感じ、辞退している。コンサルタントになれば年収が上がり、後々、BIG4への転職も可能にはなるが、金融機関の社員として四年ほどミドルオフィスで勤務した事が影響してか、私は俗世間で持て囃されるような華々しいキャリアパスを歩む事には、最早興味を失っている。
これまでの経歴との連続性が断たれる為、次の会社での給与並びに職位は下がる事になるが、新たな地平に立ち、再び自身のキャリアパスを一から構築する事に、私は望外の喜びを抱いている。

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