成長したい先生の成長を阻んでいる要因(20210818)

 一定の経験を積んだ真摯な先生の多くはもっと成長したい、すなわち、成長する仲間といっしょに、より高度な専門職となり、優れた教育実践をしたいと思っています。そんな先生たちの成長を阻んでいる要因は何でしょう。
 「すなわち」の後ろをよく見てください。3つの要素があります。

(1)成長する仲間といっしょに
(2)より高度な専門職となり
(3)優れた教育実践をしたい(>「いい授業をしたい!」)

の3つです。以下、「分析」です。

1.「成長したい」と思っている先生の関心が(3)の中の矮小化された「いい授業をしたい!」に偏っている。
 「成長したい」と思っている先生の関心が(3)の中の矮小化された「いい授業をしたい!」に偏っていることが、成長を阻んでいる決定的な要因です。中級後半や上級段階の「一人の教師に委されている」コースは別として、入門・初級(基礎)から中級前半までの教育については、現行の従来型の日本語教育の企画では、いくら工夫しても、自分の1コマの授業が少し「マシ」になるくらいで、コースの総体として決して優れた教育実践ができるようにはなりません。にもかかわらず、「成長したい」と言う多くの先生の関心は(3)に集中しがちです。「檻」の中でもがいている感じです!

2.「いい授業をしたい!」よりも(2)に目を向けて高度な専門教養を身につけた高度な専門職になることに注力しなければならない。
 上で言ったように、「いい授業をしたい!」(広くは、優れた教育実践をしたい)にばかり関心を向けていると、空回りするばかりです。むしろ(2)に目を向けて、高度な専門教養を身につけて「高度専門職としての基礎体力を強化する」のがいいと思います。

3.「基礎体力を身につけた/つけつつある」仲間が増えないと、(2)も、(1)×(2)×(3)も実現しない。
 現行の従来型の日本語教育の企画は、日本語教育の「伝統」であり、また、日本語教育のことを、日本語の上達を支援する営みの総体というふうに専門職的に考えるのではなく、単に「日本語を教えることだ!」と考えている人には「わかりやすい」! ですから、なかなか変わりません。一定の経験を積んだ真摯な先生たちの中から「より上位の日本語教育実践の創造」をめざす人たちが一定の数、集団として、出てこないと日本語教育は高度な専門職による仕事というレベルに行けません。
 もうすでに「ご推察」かと思いますが、ことば学カフェ(facebook group)は、そういう方向に前進できるように、高度な専門教育を身につけましょう!という趣旨で行われています。そして、高度な専門教養は「(ちょっと)むずかしい」本や論文を読まないと身につきません。そして、現状を打開するためには、現行のの日本語教育学あるいは日本語教育研究を超えた本や論文を読むのがいいと思います。
 みなさんのambitiousな読書活動&シェアリングを期待しています。

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