ALCEの研究集会に参加して ─ 学会や研究会でのassertionのすすめ(20210829)

 今日、ALCEの研究集会に参加しました。(わたしは、「メルロ=ポンティでときめく!?」という話題提供セッションをしました。)
 土日2日間の最後は、「私と学会の関係を捉え直す ―トキメイテ学会参加するために―」というワークショップでした。このワークショップでは、学会に類似した「今どきの」形態としてオンライン勉強会が注目されていました。ワークショップのコーディネータの一人の両角さんは、「学会とオンライン勉強会は、別種のものだ。目的がちがう」という意見をおっしゃっていました。わたしもそう思います。
 ところで、この記事の趣旨は、学会での質疑応答あるいはディスカッションのことです。日本語で「司会」というの、英語で何というか知ってる! そう、「moderator」です。 では、「moderator」って何? 「moderate」というのは、「抑える」「穏やかにする」という意味です。つまり、moderatorというのは、「はい、では、質問、ご意見をお願いします」といったときに、我こそはと手を挙げて話したがる参加者を「はい、はい、はい、落ち着いて、はい、わたしが当てますから、順番に行きましょうね!」と言って、逸って話したがる参加者をなだめて秩序を守る人です。
 これって、ギリシャ以来の西洋の伝統ですね。この「我こそは!」といって話したがる、意見を言いたがること! そして、西欧の学会に行くと、まさにそんな感じで、moderatorが「では、質問、ご意見を」というと、どっと手が挙がるわけです。どうかすると、当てられる前に話し始める人もいます。それに引き換え、そういう能動的で積極的なassertionの伝統のない日本では、学会という場においてさえ、司会者が発言を促さないといけません。また、我先に発言しようとする姿勢は、「はしたない」とされます。こんな伝統をもっている日本の学会って、なんかすごく不自由な感じですよね。そんな伝統が、「学会への参加のしにくさ」の大きな要因になっていると思います。
 あと、もう一つ、偉い先生同士が真剣にcriticalに議論し合わないというのも「悪しき文化・伝統」ですね。だから、若い人が偉い先生に反論すよるようなことをしても、本当はその若い人と同じ意見を持っているB先生やC先生でも、その若い人をサポートする意見表明をしません。B先生やC先生がA先生との「大人げない!?」意見対立を避けるからです。
 こんなことをしていると、若い人たちは本当に自由に伸び伸びと学会の議論に参加できない!

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