人間の「OSの更新」を果たすための「しっかり学ぶ」とは何か

あるべきビジネス教育のかたちは、OSの更新である―。

これを実現するにあたっては、私はある意味では大学のこれまでの学修スタイル「1科目をじっくり学ぶ」が有効であろうと思っています。ただし、大学の中だけでそれを行うのではなく、実践の場に身を置きながら、一つ一つの科目を吟味しながら学んでいくという、実践と学術の両方に深く身を置くことが大切だと思います。

カジュアルなビジネス学習ツールは「短時間でパッと○○がわかる」を売りにします。5分でマーケの基礎がわかる、10分で経済の仕組みがわかる、等々…。

忙しい現代人にはそれも必要なタイプの学びです。私もそうして摘まんで、解ったことにすることも多々あります。そうでなければ仕事をしている合間に、間に合わないですからね。

でも、皆さんが成長したなと実感するのは、発想が根本から変わった、ものごとに取り組む姿勢を改めた、そういう瞬間ではないでしょうか。そういう経験を、何回得ることができるのか―何度、大小さまざまなOSのバージョンアップを繰り返せるかが、人生における成長、本質的な学びなのではないでしょうか。

私はそうした「考え方が変わった」を届けたい。本であっても、YouTubeであっても、講義や研修であっても、それを心がけてきたつもりです。

これを実現するためには、「しっかり学ぶ」に尽きると思います。分かった気になるのではなく、背景まで理解したうえで、自分のものとして使えるようになる。そのポイントは大きく3つあると考えています。

1)体系だった、知識の構造を理解する
ひとつの科目について、基礎から始めて、理論間の関連性を理解しながら学ぶ。知の体系として理解することで、付け焼刃的な技術にならず、どういう時に、何に留意しながら、何を目的として各種理論を使うべきかを腹落ちする。ちなみにAPSではこれを、「単発」ではなく「連続もの」として、毎週続けて学んでいく、各科目8回のオンデマンド講義という形を採用することで、実現しようと考えています。

2)理論の背後にある考え方を理解する
お手軽なHow toだけでなく、その理論が生まれた背景や、土台となる考え方まで踏み込んで、学ぶ事。こちらについては、APSでは、1講義にたっぷり20-30分をかけて解説することで、Howだけでなく、歴史や、Whyの部分までを解説していくアプローチをとります。

3)実践の場でどう使うべきかを理解する
使えるようになる、にコミットすることが、教育のかたちとして求められる。それは単に手法として使えるという以上に、どういう状況で、何を目的に使うのかという本質的な理解。さらには、どのような社会正義に基づいてビジネス手法を使うのかという信念や規範。これらがあって、初めて実践の場で使える、になるわけです。APSでは、各科目について4回開催されるライブ講義で、その領域でずっと第一線で活躍している先生に、まさに上記の意味での「使えるにコミットする」ケースやワークを通じての学修を提供したいと考えています。

そして最後の仕掛けとして、APSには、各科目「決してやさしくない最終課題」があります。自分が科目に対して手を抜かない最終答案を提出して、それが認められて、単位となる。

これが、私が考える「しっかり学ぶ」であり、「OSの更新に寄与する教育の形」です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?