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『詩/炭酸刺繍のために』ドイリーとフルーツポンチ

ばあばの家では冷蔵庫に
きまってフルーツポンチが冷えている
スイカにオレンジ、マスカット、
白桃だって沈んでる


透明のボールにたっぷりの
フルーツポンチとグラスを二つ
あと忘れてならないのは
パチパチと弾けるサイダー、それにね
なぜだか真っ白な丸いお皿
これが大事なんだって


グラスにフルーツポンチを取り分けて
ばあばは自分にだけ
たっぷりのサイダーを注ぎ込む
(実はわたしは炭酸がきらい)
わたしが食べ始めると
ばあばはいたずらっぽくウィンクをして
左手にお皿、そして右手で
グラスの、パチパチと弾ける泡の上
すくうようなしぐさを二度三度


するとばあばの右手には
針と、いろとりどりの刺繍糸
器用に糸を取り分けて
お皿の上に持ってゆく
そこにあるのは
なぜだか丸い刺繍枠と
ピンと張られた真っ白な布地!
そんなことってある?


ばあばの指先で
布地の上に描かれるのは
スイカにオレンジ、マスカット
あれ? りんごなんて入ってた?
あんたはうっかりさんだからね
微笑みながら枠を外すと
それは果物柄のかわいいドイリー
ああ、びっくりして
わたしは食べるのをすっかり忘れてる



*タイトル画像はこちらを使用
 CaroleによるPixabayからの画像




素敵な企画に出会いましたので、参加させていただきます。

なお、こちらに出会えたのはあやのんさんのこちらからです。

そしてそれはこちらから。

皆さん、ありがとうございます!
藤家さん、あやのんさん、改めましてよろしくお願いいたします。

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